劇団員殺害「DNA1000人鑑定」の不気味!お手軽捜査・証拠集めで冤罪の温床にならないか
私が住んでいる中野で起きた25歳の劇団員・加賀谷理沙さん殺しは、事件当時近くに住んでいた戸倉高広容疑者(37)が逮捕されたが、その捜査のやり方にやや首を傾げざるを得ない。加賀谷さんから検出されたDNAを基に、近隣住民を含めて1000人以上のDNA鑑定をやり、実家に引っ越していた戸倉容疑者からも任意でDNAの提出を受けていたと週刊文春(週刊新潮によると被害者宅から半径500メートル圏内に住む75歳以下の成人男性に対して行った)は報じている。
同じ鑑定結果が出る人間は9兆4000億人に2人しかいないというから、残された証拠の分析と地道な地取りを重ねて犯人を追うよりも、警察にとってはありがたい「証拠」であろう。しかし、真犯人が誰かのDNAを相手に知られずに何らかの方法で入手し、殺害した人間に付着させて逃亡したとしたらどうなるのだろうか。
今回の場合も、容疑者は現時点では完全に自白してはいないようだ。自白も証拠もなくて、DNAだけを「証拠の王様」にしてしまうことで冤罪事件が再び起きることはないのだろうか。また、DNAさえわかれば犯人を見つけやすいと、日本人全員のDNAをマイナンバーに登録せよと、愚かな為政者が号令をかける心配はないのだろうか。
この延長線上で、人工知能が囲碁王者を破ったことを手放しで褒め称えるのはいかがなものかという週刊新潮の記事を紹介しておく。人工知能の発達は目覚ましいものがあり、いずれは農作物の栽培や建築、コールセンターでの応対や通訳、翻訳もこなせるようになるという。
それは今ある仕事の半分は人工知能によって代替がきくということだから、人間はいらないということになる。人工知能は人間を超えられないという考えも過去のものになり、「人工知能が精神病になることで作り損なうと、サイコパスの殺人鬼みたいな人工知能が生まれる可能性だってある」(神戸大学・松田卓也名誉教授)。人工知能を使った武器やロボットを開発し、世界征服を目指す為政者も出てくるかもしれない。もはや手塚治虫が描いたSFの世界は、現実になろうとしているのである。