週刊誌とは怖いものである。一夜にして順風満帆だった人間の人生を根こそぎひっくり返してしまうのだ。ショーン・マクアードル川上氏(47)は2010年から、フジテレビ系の朝の情報番組「とくダネ!」のコメンテーターとして登場した。私は朝ご飯を食べながらこの番組を見るので、彼のことは知っているが、話の内容はともかく、ジェームズ・ボンドばりのいい男である。
ラジオで多くの経営者たちと対談している経営コンサルタントという触れ込みだった。何のテーマでも司会の小倉智昭から振られれば、淀みなくとうとうと自説を述べる姿はテレビ向きだなと思っていた。
昨年(2015年)4月からは、古舘伊知郎の「報道ステーション」で木曜日(のちに水曜日)のコメンテーターにもなってさらに存在感を増していった。低迷するフジテレビが『社運』を賭けた4月からの平日深夜の大型報道情報番組「ユアタイム~あなたの時間~」のメインキャスターとして彼を起用すると発表したため、一躍、時の人になったのである。
ある人物のことを思い出した。彼が朝日新聞の「AERA」編集部にいた時、朝日らしからぬおもしろい人物だったので、何度か酒を飲んだりして親しく付き合っていた。あるとき、彼から「今度、久米宏の『ニュースステーション』のコメンテーターになるんだ」と聞かされた。彼のキャラクターはテレビ向きだったので、すぐに人気者になった。だが、なまじ有名になったことで、週刊誌の格好のターゲットになってしまった。今回と同じように、週刊文春が彼と長年付き合ってきた愛人の「衝撃の告白」を掲載したのだ。彼は番組を降りた。朝日新聞は辞めなかったが、辛い日々を送ることになった。
パンツを盗んだ過去、同性愛、育児休暇をとるとぶち上げたが不倫がバレて辞職した人間も、代議士になっていなければ週刊誌が追いかけることはなかっただろう。
川上氏もワイドショーのコメンテーターで収まっていれば、経歴詐称をこれほど問題にされることはなかったはずだ。だが、あまりにも詐称の内容がひどすぎる。「テンプル大学、パリ第一大学で学んだあと、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得」としていたが、週刊文春が調べると、ハーバード・ビジネス・スクールの同窓会名簿に川上氏の名前はなかった。本人によると、テンプル大学ジャパンは東京・下落合にある大学だが、10か月もいなかったという。パリ第一大学も付き合っている女性がフランス人だったので学ぶならヨーロッパだと思ったが、大学のオープンキャンパスで聴講しただけだそうだ。
ハーバードへは勤めている会社から行かせてもらったが、受けたのはたったの3日間コースだった。またホームページにある米国本社はあのトランプビルの28階になっているが、ここは月69ドルから借りられるレンタルオフィス。日本の本社と記載されているのも渋谷のセルリアンタワーの中にあるレンタルオフィス。恵比寿にある支店も、週刊文春が行ってみると競馬予想会社や闇金が入居する雑居ビルだそうだ。公式サイト内にある「マネジングパートナー」は3人ともまったく別人の写真が掲載されているというのである。
週刊文春は川上氏の故郷・熊本市まで飛んで、高校の同級生に取材をしている。そこではショーン・マクアードル川上と当時の川上氏が同一人物だと気がついている同級生は一人もいなかった。なぜなら、当時とは別人のような顔に変わっていたからである。
川上氏は週刊文春の指摘に対して、何度も「それはダメだと思います」と繰り返している。ダメというのは、全面的にウソを認めて、いい訳ができないということだ。ウソで固めた経歴と度胸と話術でのし上がり、『新時代のキャスター』に成り上がる寸前で、砂上の楼閣は脆くも崩れ去ってしまった。今ごろ彼は、テレビに出て有名になんかなるんじゃなかったと後悔していることだろう。
安倍チルドレン石﨑徹代議士「熱心過ぎる性事活動」セクハラ、二股交際当り前
もう一人、後悔しているであろう政治家がいる。週刊新潮が報じている安倍チルドレンの一人、石﨑徹代議士(32)である。新潟市出身で、慶應大学を卒業して財務省に入省。その後、自民党の候補者募集に応募して合格。総選挙に新潟市から出馬して最年少当選を果たしている。現在2期目だ。
学生時代に付き合っていた女性と結婚したが、政治家に転身すると話したら、「そんな話聞いてない」と離婚を切り出され別れたという。バツイチ、独身、なかなかのイケメンとなれば、出てくるスキャンダルは「セクハラと二股交際」と決まっている。
まずはセクハラから。後援会の会長である渡辺毅氏が語っているのだ。<「石﨑君が、地元秘書を公募し、14年の4月、30代前半の女性が運転手兼秘書として採用されました。ところが、そのわずか1ヵ月後、別の秘書から、その女性が石﨑君に言い寄られ、それを苦に事務所を辞めることになったと報告があった」>
渡辺氏は秘書にその女性から聞き取り調査をさせた。その生々しい描写のいくつかが週刊新潮に掲載されている。
<4月12日(土)。場所は「かくれがDining 忍」
「D(代議士のこと=筆者注)が『近くに来て』と言い、対面式に着席していたが隣席状態となる。
23時頃~接吻を迫り、衣服の上から胸、陰部を触る。徐徐に衣服の下に手が伸び、状況がエスタレートし始め、『どこかに泊まろう』と誘う。
23時半過ぎ~Dが『ここでしようか(性交渉)』と言い、拒否すると『じゃあホテルに行こう』と誘う」>
ようやく振り切って別々に店を出たそうだ。こんな人間でもいうことはでかく、将来は総理大臣になると公言しているという。
秘書にセクハラをしていた同時期に、地元テレビ局BSN新潟放送に勤務する女性記者と同棲していたというから、女性にはまめのようだ。彼女とは結婚することを前提に付き合っていたそうだが、同じ時期に自民党の先輩議員の女性秘書とも付き合っていたというのである。文部科学省の前副大臣の丹羽秀樹代議士の秘書だが、丹羽代議士が件の秘書と話し合ったところ、付き合っていることを認め、周囲には石﨑氏と結婚するつもりだといっていたという。
石﨑代議士は週刊新潮の取材に対して、「セクハラした事実も、二股交際の事実も一切ありません」と答えているが、後援会長がしゃべっているのだから、苦しいいい訳である。
週刊新潮は<政治家というよりは、性事家と呼ぶに相応しい>と結んでいるが、この御仁も進む道を間違ったようである。