11年前、栃木・今市市で起きた当時小学1年の吉田有希ちゃんの誘拐・殺害裁判できのう14日(2016年3月)、取り調べの映像が初めて公開された。自供は「強要されたものだ」と勝又拓哉被告(33)は無罪主張している。
この事件に物証は少なく、事件前後に勝又の車が目撃されていたというのが逮捕の根拠で、自供の任意性いかんで冤罪にもなりかねない。初めて公開された取り調べ状況は次のような内容だった。
「ごめんなさい」「いや、殺してない」
取り調べ捜査員「有希ちゃんを殺したのは間違いないのか」
勝又「はい」
捜査員「殺した理由はなに?」
勝又「ごめんなさい」
だが、取り調べが午後になると、「殺してない」と否認に転じた。
捜査員「さっきは殺したと言ったよね」
勝又「殺してないなら殺してないといった方がいいよと、弁護士にいわれたから」
捜査員「拓哉自身はどうなの?」
勝又「殺してない」
また別の日の取り調べでは、「黙秘権を使いたい」とも話している。
検事の取り調べの様子も録画されている。検事は「自分が言ってること卑怯だろ」「黙ってても何もわかんないんだよ」「うん、じゃねえだろ。うん、じゃねえだろって」「それで悪の道行けばいいじゃん。遺族に恨まれ続けてさ」とかなり乱暴な口調だ。
勝又「ほんと無理。ほんと無理」
取り乱して窓に向かう場面もある。
勝又「(警察官に)殺してごめんなさいと50回言うまで晩飯抜きだといわれた。30回言って全身がけいれんした」
勝又は録画されていない時に暴力があったと語っている。取り調べた警察官は、自白の強要を否定する証言をしている。
難しい判断迫られる裁判員
司会の小倉智昭「可視化されたものを裁判員がどう受け止めるか、かなり難しいですね」
笠井信輔(ニュースデスク)「映像や録音が7時間にわたって再生されました。被告の供述が変わるシーンも入っているので、被告に有利という部分もありました。きょう15日の公判では、被告が殺害の詳細を話している映像が公開されます」
強要された自白が数々の冤罪を生んできたことから取り入れられた可視化だが、どの部分を公開するかは検察側の意図が入る余地がある。裁判員がこれをどう受け止めるか。微妙な展開になりそうだ。