<ピンクとグレー>
スターと売れない芸能人!加藤シゲアキ原作にない「62分後のオリジナル仕掛け」

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   NEWSの加藤シゲアキが原作、Hey! Say!JUMPの中島裕翔が主演である。フィクションとわかっていながら、原作者や主演俳優のノンフィクション部分が注ぎ込まれているような錯覚を覚えた良作だった。

   小学校からの仲良し2人組が読者モデルにスカウトされ、そろって芸能界に飛び込んだ。しかし、才能の差は残酷で、1人はスターダムを駆け上がったが、もう1人はまるで芽が出ない。気が付けば、対等だったはずの二人は「スター」と「凡人」と対極にいた。気まずくなった二人は離別する。

   ここまではありがちな設定だが、運命は急転して「スター」は自死してしまう。遺書を残された「凡人」は「スターの遺志を託された者」として、もう一度芸能界で成り上がるチャンスが与えられた。それは救いなのか、うらみなのか、それとも・・・考える余白をすこんと残して終わっていくのが憎い。

中島裕翔・柳楽優弥それぞれにスター好演

(C)2016「ピンクとグレー」製作委員会
(C)2016「ピンクとグレー」製作委員会

   キャッチフレーズとなっている「62分後の衝撃」は、原作を読んでいれば「やはり」の範囲内である。けれど、この物語の入れ子構造がキャストにばっちりはまっていた。「スター」役が「スター」としての存在感を観客に与えることができなければ物語が成立しない。俳優がどう表現するか。

   「スター」役を演じた中島と柳楽は、異なるベクトルでこの難役を好演した。中島は小顔長身で、整った目鼻立ちはスター役にふさわしい。柳楽優弥は鋭い眼光、振る舞い、間のとり方で「カリスマ性」を発揮していた。

   物語の前半と後半で、まったく違う役を違和感なく演じ分ける菅田将暉や夏帆の力量も光っていた。基本は原作を踏襲しながらも、メインキャストほぼ全員に一人二役を振るなど、俳優のポテンシャルをぐいっと発揮させる脚本もとても好き。結末を納得させるためのオリジナル改変も巧かった。張られた伏線もおおむね綺麗に回収されてすっきり。

   「スターはなぜ自死したのか」という問いにはっきりして答えは提示されない。見る人それぞれが思い入れろということなのだろう。

おススメ度☆☆☆

ばんぶぅ

姉妹サイト