スーパーなどで高齢者の万引きが増えているという。総件数は年々減っているのだが、高齢者の割合は増え続けて、2014年には全体の約4割にもなった。「とくダネ!」があるスーパーの2日間をウォッチしてみると、実態は衝撃的だった。
監視カメラは死角がないように配置されている。万引きGメンがモニターで監視しているのだが、「とくダネ!」は隠しカメラで万引きに迫って、その手口もとらえていた。
焼酎、サンドイッチ、から揚げ・・・次々ポケット「年金じゃ暮らせない」
手ぶらで歩く男。サンドイッチに手を伸ばしたが、いつの間にか手は空になっていた。さらに焼酎のカップをポケットへ。そのまま出て行こうとしたところを万引きGメンが捕まえた。63歳。「酒が飲みたくて、自転車で飲みながら帰ろうと思った」と話す。
万引きした商品は焼酎2本、サンドイッチ、から揚げの計886円だ。運転手を定年退職してから週に3日清掃員をしているが、年金支給は65歳からだ。60代の妻と共働きで、収入は月に11万円ほど。マンションのローンを払うと、ほとんど残らない。150円の焼酎が買えないとぼやく。万引きは初めてではなかった。前にも捕まっていた。常習と見なされ書類送検となった。
Gメンの鈴木美由紀さんは、高齢者の増加を「年金だけではやっていけない。1個、2個なら見つからないかという感覚なんです」と話す。以前は若者の「ゲーム感覚」が多かった。警察庁の調べでは、検挙数で2011年に高齢者が若者上回って、以来、少年は激減しているが、高齢者は横ばいが続く。
監視カメラとGメンの目は次々に不審な人物を探り当てる。77歳の男性はカートに乗せたポーチに缶詰などを入れると、ポーチを腰に巻きつけた。カートを残してエレベーターで駐車場へ。ポーチを空にしてまた戻る。これを繰り返していた。カートの商品だけ清算して車へ。そこで捕まった。
65歳会社部長「バレなきゃいいかと。人生紙一重」
77歳の男性は70代の妻と40代の娘家族と住む。清算分が約4000円。万引き分は和牛やソーセージ、缶詰など4716円。「年金生活でたまにはすき焼きも食べたいし」
別の76歳の男性はおにぎり4個、ハンバーガー、どら焼きの計466円だった。「75歳までは働いていた。75を過ぎるとどこも使ってくれないんだよね」。元大手家電メーカーの社員で、退職後はどら焼き工場で働いていたと。現在の収入は月15万円の年金だけ。家賃8万円で妻と2人暮し。所持金1000円。Gメンが「1000円あれば買えるじゃない」「今月いっぱいこれしかないからさ。テレビを買って厳しかった」「朝食、食べてない」。空腹での万引きも増えているのだそうだ。
実況見分中の警官のすぐ脇で、清算済みの商品を入れる色違いの箱に入れてレジをくぐろうとした男がいた。カメラが一部始終を見ていた。万引きはコシヒカリ5キロなど2966円だった。65歳で会社の部長だった。妻と子供2人。不自由のない暮し。「まあ、バレなきゃいいかと。人生紙一重」という。男は警察に連行されていった。
司会の小倉智昭「万引きがバレても、当然であるかのように言うお年寄りもいますね」
森本さやかアナ「生活が苦しいからという人もいます」
結局、2日間で4人。夏野剛(慶應大大学院特別招聘教授)は「高齢者はモラルがあると思われていますが、最後の人なんか、完全に確信的な窃盗ですよね。きちんと取り締まらないと」
小倉「1つのスーパーでこれだから、全国ではどれだけあることか」
これがモラルの問題であるうちはまだいい。高齢化がさらに進むと、もっと深刻になるのかもしれないという嫌な予感がする。