女子マラソンのリオ五輪代表選考がまたもめている。毎度のことで、不透明な選考方法に大いに問題がある。福士加代子選手は先月(2016年1月)の国際女子マラソン大阪で、代表選考基準を上回る2時間22分17秒と文句なしの勝ち方だったにもかかわらず、日本陸上競技連盟(陸連)は代表内定を出さなかった。このため、福士は3月13日の名古屋ウィメンズマラソンで勝って、ダメ押しをすると出場を表明したのだ。
陸連の麻場一徳強化委員長は「名古屋に出るのは避けてもらいたい」と申し入れたが、福士側の陸連不信は強い。
「だったら、名古屋ウィメンズ強行出場でリオだめ押しだあ」
リオ五輪の代表枠は3人で、すでに1人が内定していて、残るは2つだ。陸連が福士に内定を出さないのは、名古屋ウィメンズで福士より好成績が出る可能性があるからというのが理由だ。これで福士はキレたのかもしれない。もう1度優勝してやるというわけだ。
中1か月半で2度のマラソンはかなりリスキーである。アテネ五輪で金メダルの野口みずきは、北京五輪代表が決まった後、明らかに練習のしすぎで体が壊れてしまった。陸連にしてみれば、半ば代表に決めている福士が名古屋に出場し、そのために本番の五輪で不調になったら元も子もないという思いがあるのかもしれない。しかし、最後に決めるのは理事会だ。福士の永山忠幸監督も「確定と言ってもらえず、外れる可能性は数%残る」という。
女子マラソンの代表決定はいつもゴタゴタする。バルセロナ五輪の最後の1人を、記録で勝る松野明美ではなく、「実績のある」有森裕子に決めた。有森は銀メダルを獲って「結果オーライ」だったが、陸連はその『成功体験』に縛られているのか、代表選考は密室でマラソンファンにはわかりにくい人選になる。
伊藤の内定を白紙に戻して、タイム上位3人で決めちゃどうか
司会の小倉智昭「なぜかゴタゴタしますね。強化委員が何を言っても決めるのは理事会で、これまでにもひっくり返ったことがあります。高橋尚子が代表を漏れた時も、『走らなくていい』といわれたそうです。名古屋ウィメンズはタイムが出るコースだからね。福士はもともとスピード・ランナーだから、けがが心配です」
そもそもは代表決定の条件に、「世界陸上で日本人1位」という変な条件があるからだ。内定している伊藤舞(31)は昨年(2015年)8月の世界陸上でこれに該当したのだが、順位は7着で、タイムは選考基準より7分以上も遅い2時間29分48秒だ。ここで内定が出て、後からの好記録には内定が出ない。残り2枠を競い合うという繰り返しだ。伊藤の内定を白紙に戻して、タイムのいい上から3人が代表としてはどうか。