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「預金封鎖」本当にあるか?マイナス金利失敗、アベノミクス破綻で現実味

   日銀が導入したマイナス金利は極めて評判が悪いが、週刊現代はこのままいくと預金封鎖まであり得る、それに備えよと警鐘を鳴らしている。法政大学教授の小黒一正氏がこういう。

   <「現在の金融政策は市場の金利形成を歪め、財政規律を弛緩させています。ですが、このまま政府債務の膨張が続くなか、インフレ率が顕在化して長期金利が上昇すれば、財政は危機的な状況に陥る可能性がある。その延長で、いま再びの預金封鎖がよみがえってくるリスクが出てきている。後世、この異常な金融政策の歴史は預金封鎖への前段だったとして刻まれかねない」>

   預金封鎖は第二次大戦直後、国民の資産を暴力的に収奪した政策だが、預金封鎖については一部の専門家やメディアも警鐘を鳴らし始めている。<たとえば昨年、NHKは「ニュースウォッチ9」で預金封鎖の特集を組んだ。

   同番組は情報公開請求をもとに政府の内部資料を入手。預金封鎖には、当時の膨れ上がった国の借金返済をすべて国民に押し付ける狙いがあったという恐るべき『秘史』を明らかにした。

   さらに、同番組は当時と現在の財政状況が『酷似』してきたことをグラフを用いて紹介。実は、預金封鎖が行われた戦後当時よりも現在のほうが財政状況が悪化していることまで暴露したのである>(週刊現代)

   この報道のときにキャスターを務めていたのは大越健介氏。この件で降ろされたのか? 週刊現代によれば、<そもそも、マイナス金利政策とは、実はわれわれ日本国民の預金に対する間接的な「課税措置」である。その意味で、政府による預金補足はすでに始まっているということに、どれだけの国民が気づいているだろうか>と書いている。

   <日銀がマイナス金利を課し、銀行を通して間接的にわれわれ預金者から分捕るカネの一部は、財務省(国庫)に納付される仕組みになっている。

   目下、マイナス金利の対象になるのは23兆円。これに0・1%のマイナス金利を課すと、日銀は銀行から230億円の金利収入を受け取ることができる。これが国庫に納入されるので、財務省にとっては230億円分を「増税」できた形になるわけだ>(週刊現代)

   もはやギリシャと同じようになっているというのは財務省OBだ。<「ギリシャでは負担策を受け入れるか否かで国論が大きく二分され、議会が紛糾した。日本でも同様の事態になる可能性があり、仮に負担策の受け入れを拒否した場合は、日銀による国債の直接引き受けをするしかなくなる。日銀が日本国債を直接引き受けるので、政府はいくらでも予算を確保できる『禁じ手』です」>

   そうなれば悪性インフレが猛威を振るい、ハイパーインフレが起こる。そのとき銀行は引き出し制限という預金封鎖の第1段階を始めるといわれる。そこまで極端なことはならないのではないかと私などは思ってはいるが、何でもありの安倍政権ならやりかねない。

   その安倍政権の形振り構わない金融政策は、アメリカからも批判の火の手が上がってきた。<米大統領選の民主党有力候補であるクリントン前国務長官は23日、日本などが輸出を有利にするために為替を操作していると指摘し、大統領に就任すれば「断固たる措置をとる」と対抗策を講じる可能性を示唆した。環太平洋経済連携協定(TPP)に反対する考えも改めて強調した>(『asahi.com』2月24日付より)

   アベノミクスの失敗は安倍首相が頼りにしている同盟国からも指弾を受けようとしているのだ。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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