山形県立高校の保健体育の女性教諭(55)が、32年間も教員免許を持たないまま授業をしていたことがおととい22日(2016年2月)にわかった。これまで4校で約7700人の生徒を教えていた。女性は「誰にも相談できず、ずっと悩んでいた」と話している。
先月まで在籍した学校では3年生の体育、2年生の保健を担当していた。生徒たちは「見た目がニコニコしていて、優しい人でした」「悪いうわさはないですね」「教え方も丁寧で、いい先生と聞いています。ツイッターでも今までお世話になったんだから少しは感謝しろと書き込まれていた」と話している。
30万円以下の罰金と10年分の給与返還
女性は大学で教職課程を修得したが、教員免許状を申請せず、山形県の教員採用試験を受け、1984年4月に県立高校教諭として採用された。山形県では教員採用試験に免許状は必ずしも必要ではなく、写しか免許を取る見込み証明書があればよく、女性は見込み証明書を出したとみられる。最初に赴任した学校に免許を見せるのが通常だが、チェックには引っかからず、その後の転任でもそのままだった。
今回見つかったのは、2009年から10年に1度更新する制度ができたためだ。14年10月に免許状を提出するよう求められたが、「実家にあるかも」「再交付してみます」などといって10回も応じていなかった。ようやく今年1月末に無免許を認めたという。
生徒たちは単位がどうなるか心配していたが、「学習指導計画にのっとり指導が行われた」と校長が判断し、不祥事であっても有効として認められた。女性に対しては、教育職員免許法違反の30万円以下の罰金と10年分の給与を返還請求されることになるという。
実績にかんがみ免許状交付というのはどうか
司会の加藤浩次「生徒の間では評判がよかったようですが、32年間の無免許でした」
犬山紙子(エッセイスト)「生徒にも信頼があったのに、もったいないですね」
加藤「学校がちゃんとチェックすべきじゃないですか」
宮崎哲弥(評論家)「能力的には遜色のない教師だったのに、誰も疑わず、ズルズルきてしまったのでしょうね」
女性にルール違反があったのはたしかだが、生徒の評判は良く勤務も真面目だったのだから、法的処理後にこれまでの実績にかんがみて教員免許状を交付するというのはどうだろう。免許状を持っていてもとんでもない教師が多い昨今、むしろこういう先生は貴重ではないか。