「もうあかん やめます」と20年にわたって閉店セールを続けてきた大阪北区西天満の名物靴店「シューズ・オットー」がおととい20日(2016年2月)、本当にやめた。あいにくの雨だったが、終日客で賑わった。
店は1977年創業で、バブル崩壊で赤字続きになった92年、「もうあかん やめます」とやって大ウケした。オーナーの竹部浅夫さん(74)は「本音をあげただけやったが」というが、そのあとが普通の人と違った。
常連客は「ホントかな。あした来たらやってたりして・・・」
「もうあかん」と言った翌日、「いや、やっぱりやります(どっちやねんセール)」とうたって大阪人をくすぐった。「大阪らしいな。シャレの世界ですよね。遊び心が満載」。東京人と違って「詐欺じゃないか」なんて野暮なことはいわない。
店の大看板も「店じまい売りつくし 大阪一安いとうわさの靴店」と書いておいて、「倒産(とうさん)セール、もうすぐ父の日だ」「売り靴(靴の字をひっくり返して『つく』)し」
時局ネタもあって、イラク戦争では「フセインさん、もうやめてぇな」、横綱朝青龍がモンゴルでサッカーした時は、「横綱もこの店も土俵際」。さらには「格差社会を是正せよ。身長の格差は当店で」「飲酒運転やめましょう。靴履いて歩きましょう」とすっかり名物になった。
ただ、竹部さんはこの数年は体調がすぐれず、応援隊と称する助っ人が入っていたが、それも限界にきたのだという。「車とか歩く人がウフッと笑うようなのが一番ウケる。反響が凄かった、何をやっても。白かった」という。
おとといは応援隊も「ほんまに完全にやめます。閉店セールです。嘘はありません」と叫んでいたが、客は「ほんまかいな」と半信半疑。金を払うと応援隊が、「ありがとうございます。これからもよろしく」なんていうもんだから、「それ言っていいの?」
高知から駆けつけたという女性は8足をまとめ買い。「看板が楽しみだった」。なかには「あす開いてるで」「関西人の勘」などとにぎやかだ。
オーナー「完全閉店。でも体調戻ったらネット販売『もうあかん.com』どうや」
最後は応援隊が「蛍の光」をスキャット。手作りの垂れ幕には竹部夫妻が頭を下げたイラストが描かれ、「ほんとうに閉店しました。もうあかんやめます。ありがとうございました」とあったが、これに「うそ~やっぱりやりますやろ」「復活希望!」「アンコール待ってるるよ」と吹き出しがあった。竹部さんは「雨の中をおおきに、おおきに」と感極まって顔を歪めた。「しょうもない男のためにありがとうございます」
司会の小倉智昭「けさはお店の前に(木下)康太郎アナがおります。康太郎が『まだやってます』といえば面白かったのに」(大笑い)
森本さやかアナ「店主の人柄でしょうね。キャッチコピーも面白かったし、体調を崩してからは、ファンが応援隊でやっていたんです」
竹部さんは「体調が良くなれば、ネット販売するかも。『もうあかん.com』でいけるんちゃうか」
小倉「東京にも似たような店はあるが、ここまで食いつかないよね」