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「糖質制限ダイエット」提唱者の桐山秀樹氏急死!タンパク質取り過ぎで悪玉コレステロール増加

   私もよく知っているノンフィクション・ライターの桐山秀樹氏が2月6日(2016年)未明に逝去したと週刊現代が報じている。享年61。

   最近、彼が注目を浴びたのは炭水化物を一切取らない「糖質制限ダイエット」を始め、激痩せしたときだった。10年にダイエットを始めたが、それまでは身長167・5センチで体重は87キロ、ウェストは100センチ以上あったという。彼がこう話していた。

   <「咳が出るので、最初は風邪だと思っていたんです。だが症状は次第に重くなる。呼吸も苦しくなり、食べたものを咳とともに吐くようになった。医者から告げられた病名は『糖尿病』――」>

   なにしろ、血糖値が215、2か月の血糖平均値HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は9・4と非常に高い数値が出たそうである。血圧は上が200以上、下が100近くあった。立派な生活習慣病である。

   その日以来、あれほど食べていたご飯やそば、パスタは一切食べないようにして、代わりに主食として食べるのは、豆腐やチーズ、肉、魚。酒は焼酎、ウイスキーはオーケーで、赤ワインも少量なら問題ないそうだ。日々の散歩も欠かさないように努めたら結果はすぐ出た。なんと1週間で5キロ痩せ、3か月後に血糖値は93に半減、体重は15キロも減ったという。

   この糖質制限ダイエットは他のダイエットに比べて圧倒的に楽で、誰でも簡単に始められるというのでブームになった。彼と同じように肥満で糖尿病を患う中年男性たちと「おやじダイエット部」を結成し、みんなで集まり楽しく食事をしながら、我慢せず痩せるダイエットを実践してきた。その活動を綴った「親父ダイエット部の奇跡」はシリーズ化され、テレビでも取り上げられたという。

   しかし、この糖質制限ダイエットについては専門家の間でも賛否が真っ二つに分かれている。京都大学大学院の森谷敏夫教授はこう話す。<「言っておきたいのは、脳を動かすエネルギーは100%『糖』だということです。炭水化物を食べずに、脳を正常に保つためには、1日に大量のタンパク質や糖質を摂らなければなりません。数キロもの肉を食べ続けることは現実的じゃない。

   痩せたのは、脂肪が落ちたからではなく、体内の水分がなくなっただけなんです。糖エネルギーが不足すると、それを補うために、筋肉を分解してアミノ酸に変えて脳に送ります。その時に水分を使用するので、体重が落ちるんです。でも脂肪は減っていない」

   このダイエットをしていると慢性的な眠気を抱えるが、これは脳が極力エネルギーを使わないよう指示を出すためだそうだ。愛し野内科クリニック院長で、糖尿病を専門に診ている岡本卓医師は、「糖質制限ダイエットを厳格に実行すると死を招く恐れがある」と忠告する。<「06年に『ランセット』『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』という世界の二大医学誌に、糖質制限ダイエットを厳格に実行すると、体内に老廃物が溜まり、体が酸化し非常に危険な状態に陥るケースが報告されました。

   スウェーデンの医師は、タンパク質ばかりを摂ることで、悪玉コレステロールが溜まり、動脈硬化を招き、心筋梗塞や脳梗塞が増えたという結果を発表しています」>

   痩せることより、長生きすることのほうが重要なのですという言葉があるが、その通りである。ダイエットはやり出すとストイックになる人がいる。食べることを楽しんで、適度な運動をして体力を維持するのがベストなのではないか。

   桐島氏とは『月刊現代』時代によく会って話をした。人なつこい笑顔が素敵な人だったが、残念である。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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