指揮者の小澤征爾氏(80)のグラミー賞受賞は、これまで8回ノミネートされてうやくというものだった。受賞部門は「最優秀オペラ・レコーディング賞」で、20年8月に長野・松本で行われた「サイトウ・キネン・フェスティバル」で収録したラヴェルの歌劇「こどもと魔法」のアルバムだ。この公演は食道がんの手術から立ち直って復帰した記念でもあった。
小澤氏は「もちろんびっくりしてます。本当にこれはみんなでいただいたと思ってます。仲間とサイトウ・キネンのオーケストラ、歌い手の人たち。みんなと一緒にこういう賞をもらって嬉しいです」と喜ぶ。
「いまでもオタオタしながらやってます」
2010年にがんが見つかり、手術の後に1年間の休養を取って、入念に復帰を図ったのが「こどもと魔法」だった。「いまでもオタオタしていますけど、その頃はもっとオタオタしてましたから、いかにオーケストラ、歌い手が素晴らしかったか。みんなに助けられてやったということです」
24歳の時にヨーロッパに渡り、スクーターで旅をしていた先のブザンソンの国際コンクールに飛び入りで参加して優勝、一躍「小澤」の名前が知れ渡った。各地の名門オーケストラで指揮を重ね、38歳でボストン交響楽団音楽監督に就任して「世界のオザワ」になった。
オザワの何がすごいのか。サイトウ・キネンのビオラ奏者、川本嘉子さんは「集中力が他の指揮者と全然違う。エネルギーの伝え方が、誰にでもわかるような自然な感じで、心の中にすうっと入ってくる。演奏家にも客席にも」という。
「日本人はもう少し自分を出していい」
03年に「とくダネ!」のインタビューでこう語っていた。「いつも思うんだけど、今の日本人は個性、個人、自分が少し薄くなってきた。みんなで集まって決めたことも大事だが、集まる前のその人ひとりが大事」
きのう16日(2016年2月)に行われた会見で、小柳美江リポーターが「挑戦したいことは?」と質問すると、「大手術でみんなに迷惑をかけたんで、なるべく迷惑をかけないようにやっていきたいと思います」と答えた。
司会の小倉智昭「サイトウ・キネンはいま、オザワ・キネンになりましたね」
宋美玄(産婦人科医)「食道がんから復帰して、1楽章だけ振ってというのを見てますけど、いま見たらむちゃくちゃ元気ですね」
小倉「80歳でスキーやテニスをなさってるそうですよ」
為末大(元プロアスリート)「年をめして元気な方の共通点は、なんか無邪気な空気があるんですね」
「あー」とキャスターの菊川怜が小倉を指して、「無邪気!」(爆笑)
小倉「グレードが違いすぎます」