いまや2月の風物詩とまでいわれる春節(旧正月)の中国人観光客は、昨年(2015年)より30%も増えて55万人と見込まれている。むろん過去最高だ。ただ、今年の傾向はこれまでといささか違うらしい。昨年は「爆買い」を流行語にしたが、今年のキーワードは「地方」だという。荘口彰久がリポートした。
豆腐に舌鼓うち、茶の湯も体験
山梨県の富士山の麓の忍野村は人口1万人にも満たない村だが、観光バスが21台も並んでいた。すべて中国からの観光客である。向かったのは「忍野八海」だった。富士山の伏流水がわき出る8つの泉で、「水がうまい」「空気がきれい」「食べ物もうまい」「間近に富士山」と大人気だ。
小雪が舞う中、一番の行列は豆腐だった。「日本でいちばんおいしい豆腐だと聞いた」と話す。青唐辛子味噌を乗せて200円なり。「水がいいからおいしくて当然」。ここにはPM2・5も水の汚染もない。多くはリピーターだという。
静岡・清水市のエスパルスドリームプラザで中国人が目指したのは、「ちびまる子ちゃんランド」だ。アニメは中国でも人気だが、ディズニーランドはあっても「ちびまる子」はここにしかない。学校給食のメニューなんてのもあって、子供連れにはウケている。
富士山静岡空港は去年から、中国直行便が週25便も飛んでいる。空港からバスで1時間半、着いたのは日本人にもあまり馴染みのない山奥の道の駅「玉露の里」だ。ここに何があるのか。茶の湯のお座敷だった。「日本の緑茶も抹茶も好き」という女性は、中国でも抹茶がブームだと話す。でも、正座の習慣のない中国人は、終わる頃にはみんな足がしびれてしまって立てない。
和歌山はなぜかリピーターが増えている。市内の黒潮市場のマグロ解体ショーと海の幸の網焼きが目当てだ。トレーいっぱいの試食の中落ちはわずか10秒でなくなった。「20回来てる」という男性もいた。
大阪や京都のホテルは満員なので、流れてきているのだ。ご当地ラーメンの店はいっぱいである。日本式ラーメンは中国でも大人気なのだ。つけ麺の汁をかけてしまったりもご愛嬌。味に変わりはない。
近ごろは旅慣れた?減っているマナー違反
司会の小倉智昭「『おいしい』でも『また来るよ』でも、中国の人が言うとすごい感じになる」(大笑い)
荘口「2、3年前に中国人観光客が来始めた時は、トイレでフルーツを洗うわ、ティッシュは持っていっちゃうわで、なんだろと思っていましたが、最近はそんなことする人はいなくなったということです」
キャスターの菊川怜「中国人観光客が地方創生をやってくれているんですね」
春節の期間は航空運賃もかなり割高なのだそうだが、休みが決まっているから仕方がないのだろう。空路の他にクルーズ船も3000人、5000人単位で各地の港に入っている。九州、山陰、四国まである。
小倉「日本人より日本文化に触れようとしている」
安田洋祐(経済学者)「これで日本人が行くようになれば、まさに地方創生になります。地方空港が活性化するのはいいことですよ」
中江有里(俳優)「お金かけてきてくれるのはありがたいことですね」
笠井信輔(ニュースデスク)「どんな土地でもビジネスチャンスはあるということ」
小倉「香川の丸亀へ行ったんだけど、泊まったホテルが中国の修学旅行生がいっぱいで、バイキングの朝食で座るところがなかった」