先週6日(2016年2月)未明、台湾南部の高雄市近郊を震源とするマグニチュード6・4の地震で、台南市の16階建てのビルが横倒しになった。これまでに32人が死亡が確認され、171人が救出されたが、けが人が500人以上。なお120人以上が不明という。
ビルは大通りに面した1階部分に商店があって、アーケードのようになっていた。数本の柱が折れたためビル全体が道路上に倒れこんだらしい。上階はマンションになっていて、春節前で実家に帰った人など300人以上がいたとみられている。
工事中に建設会社倒産のいわくつき建物
地震直後のカメラ映像があった。地震発生から10秒後、建物の前に駐車していた車を飲み込むようにビルが倒れこみ、あたりは粉塵で何も見えなくなった。その後、水道管の破裂であたりは水浸しになった。震度5というから特に強い地震だったわけではない。
救助活動は直後から始まり、倒れて上側になった部屋から続々と住民が救出された。救助活動は夜を徹して続くが、ビルの下側になった部屋には救助隊も入れず手が出せない。生存限界と言われる72時間まであと1日、状況は非常に厳しい。駆けつけた大勢の家族も、ただ祈るしかない状況だ。
ビルは築21年だが、専門家によるとコンクリート柱の鉄筋が細く、一部では柱の中から一斗缶が出てきた。この建物は1999年の台湾大地震ときも危険性が指摘されていたという。建設会社が工事途中で倒産し、なんとか完成にこぎつけたいわくつきの建物だった。責任の追及ができるかどうか微妙だという。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト