農林水産省によると、2015年の農林水産物の輸出額が7452億円と過去最高を更新した。TPP交渉合意で打撃が心配される農水産物にとって、トンネルの先に光が見えてきたような朗報だが、さて、これが続くかどうか。
農水産物が増え始めたのは3年前の2013年からで、右肩上がりで伸びてきた。輸出品で最も多いのはホタテの591億円(前年比32.3%増)、次いでリンゴの134億円(同55%増)、牛肉の110億円(同34.6%増)だ。緑茶、日本酒、みそ、しょうゆなど和の食材も好調な伸びだ。輸出先は1位が香港、2位アメリカ、3位台湾という。
和食ブームが追い風
コメンテーターの前田浩智(毎日新聞前政治部長)によると、13年に和食がユネスコの無形文化遺産に登録されて日本食ブームに拍車がかかり、海外の日本食レストランも5万5470軒から8万8703軒と1.6倍に急増した。「加えて円安、福島の原発事故で各国が実施していた日本からの農水産物の輸入規制が徐々に緩和・撤廃されたことも追い風になっています」
このまま増え続けるのか。前田は「カギは2つある」という。「海外では割高のコメの輸出が拡大できるか。もう一つは農水産物の安全を保障する国際認証の取得の問題です。欧州はこの認証の有無を輸入の基準にしており、政府は農水産物業界を積極的に支援する必要があります」
この時期に農水省が発表したのには、TPPでも大丈夫という宣伝だろう。信用できるのか?
文
モンブラン