年明けからの為替、株式などの金融市場の乱高下は「GDP世界第2位の中国経済の減速」(国谷裕子キャスター)が引き金だが、世界的な経済衰退がはじまったのか。
リーマンショック以降、中国は約70兆円の大規模な景気刺激策を行って世界経済を牽引し、資源価格の上昇や新興国の成長につながった。GDP世界1位のアメリカは金融緩和を実施し、世界市場に巨額マネーが流れ込むことで、世界経済を後押ししてきた。
金余り享受してきた新興国「化粧落ち」
中国や新興国経済に詳しい西濱徹・第一生命経済研究所・主席エコノミストはこう解説する。「アメリカはリーマン後に量的金融緩和行い、FRBの資産規模で考えると、市場に出ているお金がリーマンショックの前のざっと4倍になったんです。ヨーロッパも日本も量的金融緩和を行っている。かつレバレッジという形でマネーが膨らむので、途方もない水準になっているんです」
しかし、中国の景気刺激が息切れし経済は減速。アメリカは利上げに動き、資金がアメリカに流れる動きになっている。ブラジルなどの新興国は、金余りを背景にしたバブル的なマネー流入、資源価格の上昇などの恩恵を受けていたが、それがなくなることで「化粧落ちといった状況」(西濱)になってしまったのだ。ブラジルは世界有数の鉄鉱石産出量を誇るが、中国などの需要減によって鉄鉱石の価格はピーク時の4分の1に落ち込んでしまった。
新興国では低金利を背景にした積極的な借金によって企業の債務が膨らんでおり、とりわけ「原油価格をはじめ、資源価格が下がってきて、資源関連企業の金回りが立ち行かなくなる」(西濱)事態が懸念される。