「原発廃炉時代」解体で出る放射能廃棄物どこに捨てる?地元自治体は最終処分場拒否

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   日本が原発の運転を開始してからちょうど50年になる。運転期間としてきめられている40年を超えた老朽原子炉も多く、すでに14基の廃炉が決まっていて、一部は廃炉作業がはじまっている。さらに、今後10年内に廃炉の判断を迫られる原発も15基ある。

   しかし、使用済み核燃料、廃棄物と同様に、原発解体で出る放射性廃棄物の処分場は決まってない。電力会社が責任を持って処分することになってはいるが、建設地の選定は難航している。「国も電力会社も原発の運転を優先し、問題を先送りにしてきた現実」(番組ナレーション)があるからだ。

敷地内の仮置き場まもなく満杯

   廃炉によって出る放射性廃棄物は、L1~L3の放射能レベルに分けられ、制御棒など放射能が高いL1は地下深く10万年隔離する必要がある。低レベルのL3は配管やポンプなどだが、「もっとも低レベルのL3ですらどこにどう処分するか決まっていません」(国谷裕子キャスター)。

   15年前から廃炉作業が始まっている茨城県の東海原発では、解体工事ですでにL2~L3の廃棄物が出ている。3年後にはL1も見込まれるが、処分場は決まらないまま、ドラム缶2000本分の廃棄物を敷地内の倉庫で一時保管しているという。

   東海村の山田修村長は「このまま処分地が決まらず、解体作業がストップすることは避けなければならない。L3であれば『やむなし』と感じています」と話す。しかし、L1やL2については、敷地内の処分は認めないとしている。原発事業者の日本原電は東海村や周辺の自治体で住民説明会を開いているが、L3の処分場でも不安を感じる住民は少なくない。

   6年前から廃炉が進められている中部電力・浜岡原子力発電所は、これから放射性廃棄物が出る予定だが、処分場は未定だ。昨年9月(2015年)、建屋内に廃棄物を一時的に保管する計画を打ち出したが、これに対し自治体からは仮置き場がなし崩し的に処分場にされるという懸念が出ている。

   「われわれは発電所の立地は認めたわけだが、低レベル(放射性廃棄物の処分場)をうちの方で確保する話し合いはまだ何もしていない。今のままだと、ずるずる行ってしまう心配もある」と石原茂雄・御前崎市長は心配する。

国と電力会社「責任取らぬまま50年」

   国谷「50年間、処分場の問題は先送りされてきました。なぜこんなことになったんですか」

   かつて国の原子力委員もつとめた鈴木達治郎・長崎大教授はこう話す。「国の責任と民間の責任の境目があいまいで、誰も責任を取らないような仕組みになってしまっていたんです」「信頼を得るためにも国の責任を明確にすべきです。民間ではできないことは国がやる、事業者の責任はここまで、というように明確にすることが必要だと思いますね。国の関与というのが大事だと思います」

*NHKクローズアップ現代(2016年1月26日放送「『廃炉時代』到来 積み残された課題」)
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