フィリピンを公式訪問中の天皇陛下は昨夜27日(2016年1月)、アキノ大統領主催の晩餐会で「日本人が忘れてはならないこと」として、太平洋戦争のフィリピン人犠牲者に触れた。「先の大戦では、貴国(フィリピン)国内で日米両軍の熾烈な戦闘が行われ、貴国の多くの人が命を失い傷つきました。日本人が決して忘れてはなないことであり、この度の訪問でも私どもは深く心に置き、旅の日々を過ごすつもりでいます」と述べた。
日本軍戦死者の2倍の111万人が死亡
フィリピン戦で日本軍は52万人の死者を出したが、フィリピン人はこれに倍する約111万人の犠牲が出た。皇太子時代の1962年に初めてフィリピンを訪れた際にも慰霊碑を訪れ、犠牲者の遺族と言葉を交わしている。今回、羽田を出発する際も、「フィリピン人、米国人、日本人の多くの命が失われました。なかでもマニラ市街戦では膨大な無辜(むこ)の市民が犠牲になりました。このことを常に心に置く」と述べていた。29日には日本人戦没者の慰霊碑を訪問する。
司会の羽鳥慎一「今回のご訪問も、お二人で続けている慰霊の旅のひとつということですね」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「今のお言葉をそのまま素直に受け取れば、私たちが何をすべきがわかるんじゃないでしょうか」
羽鳥「戦後70年で、実際に戦争を知っている人たちが本当に減ってきているなかで、忘れちゃいけないことがあるんだと伝えています」
玉川「それを引き継いでいかなければいけない。次の世代に」
「無名戦士の墓」で2分間の長い黙祷
羽鳥が「無名戦士の墓」の写真を示して、「きのうここで2分間も黙祷を捧げました。この長い時間にお二人の気持ちが詰まっているんじゃないでしょうか」
「忘れてはいけない」と陛下は誰に向かっていっているのか。フィリピンについては、日本兵52万人という数字はよく出るが、フィリピン人の数字が出ることは滅多にない。これは中国、シンガポール、インドネシア、インドシナなどについてもいえる。
ところか、そうした現地の犠牲を小さく見せようとする人たちもいる。安倍首相もそうした流れの上にいる一人だ。70年という歳月をあらためて思う。