防犯カメラの映像は設置者しか見られないはずなのに、全国5000か所の映像がネットで垂れ流し状態になっていた。ネットのサイトを開くと一覧が出てくる。それぞれの映像はすべてリアルタイムだ。場所も出ているから特定ができる。
個人の家の中も玄関前もある。保育園、病院、スポーツジム、老人ホーム、飲食店、コンビニ、オフィス・・・。老人が一人 で食事していたり、保育園は今お昼寝の時間だということもわかる。コンビニのレジの中身が見えるものもあった。盗み撮りではない。正規の防犯カメラの映像なのだ。
犯罪防止のはずが、かえって泥棒や侵入犯を手助け
なぜこんなことができるのか。防犯カメラはパソコンやスマホなどで離れていても映像を確認できるようネットに接続したものがある(ネットワークカメラ)。その映像を流出させるサイトができたということだ。
飯村真一アナが東京都内のビル街で、「あそこにあるカメラの映像が見られます」と5階建てくらいのビルのカメラを指した。手にしたタブレットにたしかにその映像が出た。「鮮明な画像です」
地名からある商店を特定できた。店内と道路が写っていて飯村がいる。客の様子も通りを行く人もバッチリわかる。店の人は「業者が取り付けた。警備のためなのに、これでは警備になりませんね。店に人がいないことがわかってしまう」と深刻そうだ。防犯カメラが泥棒の手助けでは洒落にならない。
看板も読める。歯科の診察室では患者が口を開けている。とんでもないサイトだ。アメリカ(7324台)、日本(5265台)、イタリア(1551台)、フランス(1322台)など、世界全体で2万5000台以上のカメラから受信され、世界中で見られているのだ。
パスワードが初期設定のままだと見られてしまう仕組みだ。パスワードを変えれば見られなくなるのだが、なかなかそこまでやる人は少ない。専門家は、「これからもっと増えるでしょう。気づかないところでネットに繋がってますし、カメラの解像度が非常に高いので、危険性は増えます」という。 全国の防犯カメラは500万台といわれる。犯罪捜査に威力を発揮しているが、逆に言えば丸裸。おまけにこれというわけだ。
メーカーも今、IDとパスワードの変更を呼びかけているが、コンビニのセブン-イレブンが1万8000店舗で行った緊急調査では、5店舗が該当した。
初期設定のパスワードのままが危ない
司会の羽鳥慎一「危険ですよ」
キャスターの宇賀なつみ「恐ろしいですね。安全だと思っていたのに」
取材した飯村は「駐車場なんかは見えてもいいかもしれませんが、レストランの中とか、夜のスナックもあります。お年寄りの見守りカメラなど、鮮明ですからね」
しかし、これは犯罪にならないらしい。初期設定のパスワードは公開のものとみなされ、「不正アクセス」にはならないのだという。
青木理(ジャーナリスト)「場合によっては、カメラをつけた人が管理責任を問われることだってありえますよ」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「ネットに接続する必要があるかどうか、考えたほうがいいですね」
羽鳥、「高齢者、子供、ペットの見守り以外は必要ないかも」
防犯アナリストは「防犯カメラが家族構成や在宅状況まで教えてしまうことにもなりかねない」と警告している。
嫌な世の中になったもの。