寿司チェーンの「すしざんまい」の木村清社長は東京・築地のマグロの初セリに登場する名物男で、今年も一番マグロを競り落としたが、なんとソマリアの海賊を手なずけたという噂がネットを飛び交っている。「モーニングショー」が取材してみたら、これが本当だった。
木村社長はこう話す。「このところ何年かは(海賊は)出ていない。実害なしと聞いている」という。2011年ころから海賊に関わってきて、これまで10回以上も現地に行った。目的は海賊に漁業をさせることだ。「あの沿岸はものすごくいい漁場なんです。近代的な獲り方を指導させていただいた」
海賊をやめろという代わりに、漁船を寄贈し、獲れた魚の流通ルートまで構築した。今では年間100トン以上のマグロを輸出するまでになっている。
「力で押し伏せることも必要ですけど、北風と太陽じゃないけれども、太陽をとった」「みんな幸せになりたい気持ちは一緒ですから」という。
年間250件あった襲撃いまやゼロ
ソマリアの海賊が現れたのは1990年代初期に内戦が始まった頃からだ。アデン湾を航行するタンカーや商船が襲われた。09年からは218件、219件、237件と多発したため、欧米各国が軍隊を派遣して撲滅作戦も行われ、日本も警備に加わった。12年以降は75件、15件、11件と減り、15年にはついにゼロになった。
東海大の山田吉彦教授は「海賊がいなくなった一番の理由は、国際的な警備の結果です。木村さんはその海賊たちにまともな仕事を与えて、もう海賊をしないでも生きていける環境をプレゼントしたわけです」と話す。
で、儲かってますか。「儲け一点張りじゃダメ。これによってソマリアの海賊がいなくなったり、世界平和の一端が少しでも担えれば」。12年にはソマリアの隣国ジブチから勲章を受けた。
目を付けた「あそこは世界有数のマグロの漁場なんだから・・・」
司会の羽鳥慎一「(海賊が)劇的に減ってますね」
野上慎平アナ「現状は採算度外視でやったことでも、先行投資と考えれば、10年、20年先には戻ってくるかもしれないですね」
石原良純(タレント)「マグロのプロだから思い浮かぶアイデアだよね」
羽鳥「北風と太陽の、ホント太陽ですね」
住田裕子(弁護士)「真っ当な仕事を与えれば、人間の尊厳も取り戻せる。やりたくて海賊やってると思えません」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「軍事でやっつけても、新しい海賊が出てくるだけ。原因を取り除いたら海賊はいなくなる。非常に示唆に富む話だと思います」
ソマリア沖は世界有数のマグロの漁場だが、現地ではマグロの価値を知らなかった。海賊を直談判で説得した時の言葉が、「自分で稼いだ金で家族を養う誇りを持った人生にしなくちゃいかん」だった。
羽鳥「それはわかってるけど、方法がなかったんですよ。じゃ、その方法を与えるよ、ということですよね。すごい」
あのニコニコ社長の隠れた顔。見つけ出したネット族も大したものだ。