「ホッとしたのが一番。やりきった感があります」
きのう24日(2016年1月)の大相撲初場所千秋楽で、初優勝を果たした大関琴奨菊は噛み締めるように話した。31歳の遅咲きだが、日本出身力士では10年ぶりの幕内優勝に日本中が沸いた。
会見で「原動力は?」と聞かれ、「私に合わせて支えてくれた祐未」と傍に立つ妻の献身を上げた。カメラマンの要求に祐未さんが頬にキスするサービスもあったが、今週30日の土曜日に結婚披露宴を予定している。
遅咲き!31歳11か月の優勝3番目
子供の頃から将来を期待され、福岡・柳川から相撲の強豪校、高知の明徳義塾中学・高校に進学した。卒業後は佐渡ケ嶽部屋に入門して、02年に初土俵を踏み、9年目の11年に大関に昇進した。しかし、優勝は程遠く、何度も角番に立たされる状態が続いていた。
今場所は打って変わって、初日から土付かずで、鶴竜、白鵬、日馬富士の3横綱を破って12連勝。13日目に豊ノ島には敗れたが崩れず、千秋楽も豪栄道を突き落として賜杯を手にした。
その瞬間、出身地の柳川市、佐渡ケ嶽部屋のある松戸のラーメン店は大はしゃぎ。涙を流すお年寄りの姿もあった。午後6時半からの国技館から両国までのパレードでは、この冬一番の寒さの中を大勢の人が出迎えた。号外まで出た。
にしても遅かった。31歳11か月の優勝は旭天鵬、貴闘力に次ぐ3番目で、初場所から66場所は旭天鵬に次ぐ2番目だ。つい先場所は8勝、その前は11勝、5月場所は負け越していた。何があったのか。
昨年夏から筋力・体幹トレーニング
昨年8月から新たなトレーニングを取り入れた。専属のトレーナーがついて、40キロの重しをつけたタイヤを押したり、重さ25キロの重りを持ち上げたりを繰り返した。伝統的な部屋での立会いとは違う、バランス、体幹、持久力をつけるトレーニングだった。これで、これまで30秒しかもたなかったスタミナが長続きするようになったという。
いまや仕切り前に体を反らす仕草までが声援を呼ぶ。このポーズをなんと呼ぶかを聞かれて、「琴バウアーでいきましょか」と笑った。
司会の羽鳥慎一「土曜日に結婚式ですよ。こんな最高のタイミングありますか」
石原良純(タレント)「場所後の結婚式って、うまくいったから美談だけど、怪我でもしたらと思う。今場所にかけるものがあったんでしょうね」
羽鳥「で、この後どうなりますか」
横綱昇進は「大関が2場所連続優勝か、それに準ずる成績」が条件である。先場所は8勝だから、次の場所で優勝するしかない。
石原「スポーツも科学の時代だから、トレーナーがついたのはいいかも。相撲の世界もそういうプロが入ってくるんじゃないですか」
羽鳥「日本出身の横綱は若乃花以来、お兄ちゃん以来出てない」
住田裕子(弁護士)「そんなになるんですか」
ため息と期待と。