東京のJR渋谷駅周辺の整備・再開発が進んでいるが、その真ん中にちょこんと座っている忠犬「ハチ公」の像をめぐって、いささか気の早い話が持ち上がっている。工事のためどこかへ一時移転・保管しなければならないのだが、「ハチ公像」を里帰りさせようというのだ。
「着工は2020年。ずいぶん先の話で何も決まっていません」渋谷区は困惑
忠犬ハチ公は外国人旅行者にも知られていて、像の前では終日記念写真を撮る人が途切れない。恐らく日本一写真を撮られている銅像だ。そのハチ公に「瞬間でもほんのちょっとでもいいので、戻ってきてほしい」と手を合わせるのは、秋田県大館市の福原淳嗣・市長である。
ハチ公は大館市生まれで、1924年に東京帝大の上野英三郎教授にもらわれ飼い犬になった。その因縁から大館市にはいくつものハチ公像がある。大館駅前にも、生家の前にもあり、温泉施設には黄金色のハチ公もいる。
渋谷駅の整備はすでに始まっているが、ハチ公広場拡張の着工は東京オリンピック後の2020年で、工事には6年かかる予定になっている。その間の移転・保管に大館でという気の早い申し入れだ。話を受けた渋谷区は「あまりに先すぎて、何も決まってません」と困惑している。だが、福原市長は「郷土の誇りです。帰ってきてほしいという思いは、大館市民は誰でも持ってます」とひたすら熱い。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト