大雪に見舞われた18日(2016年1月)の秋田・横手市で、流雪溝に落ちた2歳の男児が商店主らの連係プレーで無事に救出された。午後5時半ごろ、母親の後ろを歩いていた男児が道路脇の流雪溝に転落した。流雪溝は除雪した雪を流して処理する側溝で、雪を投げ入れるため蓋が開いており、幅51センチ、長さ55センチの穴になっていた。
水温0.3度、水深30センチ、大雪のため流れは急だったが、たまたま男児が落下した流雪溝下流の路上に2人の商店主がいた。鮮魚店の吉田達朗さん(55)と豆腐店の山田仁さん(60)だ。
「そっちへ流れていくぞ!捉まえて!」
そのときの様子を吉田さんはこう話す。「『お母さん、お母さん』と叫ぶ子どもの声は聞こえるが、姿が見えない。下流の方で除雪していた人に、『子どもが流された。捉まえて!』って叫んだんです」
それを聞いた山田さん「『捉まえて!』という声を聞いて流雪溝の蓋を開けて入りました。暗くて見えないんですが、『キャー』という子どもの声がするんですよ。両足を狭めていたら、いったんは足の間に子どもが挟まったんですが、流れが急で力尽き子どもがすり抜けてしまった。で、誰か救ってくれって叫んだんです」
機転を利かせてさらに下流に回り込み待ち構えていた吉田さんが流雪溝に入って男の子を捉まえ引き上げて救出した。
「夕方なのにたまたま2人もそばにいた」
吉田さんは「夕方なのに2人も外に出ていたのに加え、もう一つ偶然があったんです」という。「男の子は水深30センチのところを300メートル流されたんですが、溺れてもおかしくない状況のなかで叫び声をあげてくれたので見つけられた」
男児は擦り傷程度のケガだった。
司会の加藤浩次「吉田さんらのファインプレーですね」
エッセイストの犬山紙子「流雪溝からの声だと咄嗟によく気づいたですね。本当に吉田さんの機転のおかげでと思う」