「ド素人みたいな運転手ゴロゴロいるよ」怖くて乗れない貸し切りバス!違反多すぎて手が回らない国交省監査

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   若者15人が死亡した長野県軽井沢町のスキーツアーバス転落事故で、運転していた土屋廣運転手の経験不足が浮上している。バス会社「イーエスピー」に入社する前に勤務していた会社では、小型のマイクロバスを使った近距離送迎を主に担当していたという。土屋運転手の技量について、「イーエスピー」の同僚も「クローズアップ現代」の取材にこう証言した。

「ハンドルさばきは疑問があったね。進路変更が微妙に遅れてみたり、ちょっと集中力が欠けちゃったりしたのが見られた」

   それでも土屋運転手が雇われたのは、深刻な運転手不足があるからだ。平成12年の規制緩和で貸し切りバスの会社は増加したが、大型バスの免許を持つ人の数は年々減少している。ドライバーの奪い合いになっていた。元同僚が続ける。

「仕事はいっぱいある。素人でもなんでもいいから置いとかないと運行できないわけだから、技量がない連中はゴロゴロしている。これ、業界の問題だよ。安全面を考えると最悪のことですよね」

開き直る業者「バスは置いとくだけで1日2万5000円。だったら規制運賃以下でも走らせるよ」

   国土交通省は平成24年にドライバーの賃金、運行が適正に行われるための基準運賃を定めた。しかし、バス会社よりも優位な立場にある旅行業者に「もっと安く」と言われれば、断るわけにもいかず、守る業者は限られている。あるバス会社社長はこう話す。

「黙っててもバスのリース料などもろもろの経費がかかるわけです。バスは置いてても1日2万5000円かかる。それをゼロでやるわけにはいかない。だったら、私どもは(基準運賃を大きく下回った)仕事でも受けます」

   赤字覚悟で安全対策にコストを掛ける会社も出てきている。埼玉県加須市にある「さくら観光バス」は、一昨年(2014年)から340万円を投じてGPSを使った新しいシステムを導入した。どのバスがどこを走っているか、決められた休憩をきちんと取っているかなどが、本社のパソコンでいつでも確認できる。さらに、質の高い運転手を採用しようと給料を2割アップした。

   安全対策にコストをかけたことで、今年度の収支は赤字に転落する見込みだ。それでも天野正幸社長は「お客様を大事にすることを理解していただくことで、きちっと利益が出る会社になれると思います」という。

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