元日の新聞には各出版社の広告が載る。朝日新聞で見てみると、2015年の「顔」だった五郎丸歩選手を出して書きぞめならぬ「読みぞめ」としたのは講談社。小学館は漫画「ドラえもん」のロゴを活かして「ドーにかなるさ」というキャッチコピー。
一番印象に残ったのは5日(2016年1月)だったが、宝島社の見開き広告だ。樹木希林が花束をもって水辺に横たわっている。極楽のイメージか。コピーには「死ぬときぐらいは好きにさせてよ」とある。樹木の「人は必ず死ぬというのに。長生きを叶える技術ばかりが進化してなんとまあ死ににくい時代になったことでしょう。死を疎むことなく、死を焦ることもなく。ひとつひとつの欲を手放して、身じまいをしていきたいと思うのです。人は死ねば宇宙の塵芥。せめて美しく輝く塵になりたい。それが、私の欲なのです」というメッセージ。
宝島が出している出版物とはイメージが違うような気がするが、秀逸な広告である。
大阪維新の会、創価学会との太いパイプで「ポスト安倍」を虎視眈々
今年は選挙の年だ。まずは1月24日に投開票する沖縄・宜野湾市長選は、翁長雄志沖縄県知事が推す新人候補と菅義偉官房長官が推す現職との戦いである。菅はディズニーリゾート誘致をちらつかせ、翁長が推す候補潰しに躍起になっている。
もし菅が応援する候補が負ければ彼にとっては手痛い失態になる。週刊ポストは安倍首相はもはや政権の表紙にすぎず、実質的に政権を牛耳っているのは菅だと報じている。自民党とおおさか維新の会の一騎打ちになった大阪ダブル選で菅は維新の支持に回り自民党候補は惨敗した。
消費税の軽減税率問題で、適用範囲をどこまで広げるかでもめた。谷垣幹事長らは極力金額を抑えるよう主張したが、参議院選で公明党の力を頼むために、菅は公明党の要求を丸呑みした。谷垣が「抗議の辞任」をするのではという話が流れたが、菅は「辞めたければ辞めればいい」と突っぱねたという。
昨年10月にはグアムを訪問して米太平洋海兵隊司令官と会談した。週刊ポストによれば、官房長官というのは危機管理の責任者であるから、外遊はもちろん、選挙応援のために地方へも行かないのが原則なのに、それをあっさり覆した。
おおさか維新の会、創価学会との太いパイプをもち、安倍首相の次を虎視眈々と狙っている。否、その基盤はすでに盤石になったというのである。これで参議院選を勝てば<安倍氏は憲法改正の実権のない『象徴首相』に祭り上げられ、『実質首相』である菅氏が全権を掌握する>(週刊ポスト)というのだが、名前だけの象徴の人間に戦後体制をひっくり返す重大な憲法改正をやらせるなどもってのほかであること、いうまでもない。
週刊ポストお得意の「MRGA地震予測」・・・狼少年的記事の賢い読み方
週刊ポストがまたまた「MEGA地震予測」をやっている。測量学の世界的権威である村井俊治・東大名誉教授がやっている地震予測法だが、氏が警戒を呼びかけているのが「首都圏・東海ゾーン」だというのだ。
<「特に注目しているのが伊豆諸島です。昨年5月の小笠原諸島西方沖地震(神奈川・二宮町などで震度5強)以降も異常変動が頻発しています。さらに昨年9月の東京湾地震以降も隆起・沈降、水平方向の動きが拡大しており。まだエネルギーは放出しきっていないと考えられます。
多くの人は首都圏直下型地震ばかりを心配しますが、どこが震源になっても地盤の緩い首都圏は大きく揺れる」(村井氏)>
1ページを使って「異常変動全国MAP16」を載せているが、これを見ると日本全国危ないところだらけである。ということは、いつどこで巨大地震が起きても不思議はないということだろう。こうした「狼少年」的記事は、常に万が一のときに備えておきなさいという警告として読むべきである。
古市憲寿「失言炎上」テレビ出過ぎると自分こそ劣化早い!ご注意を
古市憲寿氏(30)は私も対談したことがあるが、気鋭の才能溢れる社会学者である。大いに将来を楽しみにしている一人だが、その彼が元日に放送されたバラエティ番組で、共演したウエンツ瑛士氏(30)の子供時代の写真を見て「ハーフってなんで劣化するのが早いんでしょうね」と漏らしたことが、差別発言ではないかと批判されていると週刊文春が報じている。
この言葉だけを読むとたしかに「差別」ととられても仕方ないようだが、彼のような利発な若者がなぜこのような発言をしたのだろう。古市氏はこう弁明している。<「いくらバラエティ番組でも、失礼なことを言ったと思います。(中略)というのも、このやりとりには前段があります。僕は二〇一一年に『絶望の国の幸福な若者たち』という本を出版したのですが、二〇一二年にウエンツさんは『"絶望世代"は幸福でいいのだ!』という本を出版しています。その題名がいわゆる『パクリ』なのかどうかという論争がスタジオであったのです。その延長で、子どもの頃非常にかわいかったウエンツさんの写真を出され、彼自身もそれをネタとしているようなので、『劣化』という言葉を冗談交じりに使いました」>
口は災いの元。バラエティだからといっても、いっていいことといけないことがある。おバカタレントではないのだから、何でもかんでも呼ばれればテレビに出るというのはやめたほうがいい。その時間を研究に当てるようにしないと、あっという間に才能が枯渇してしまうことになりかねない。能力のある人だけに苦言を呈しておく。
アサヒ芸能「AV大賞」キンコメ高橋健一こっちで我慢してればよかったのに・・・
国会議員のパンティ泥棒が話題になったと思ったら、今度はお笑い芸人が女子高生の制服などを盗んでいた窃盗容疑で逮捕された。「キングオブコメディ」というコンビは2010年にコント大会で優勝したほどの実力があるそうだ。その片割れ高橋健一(44)が逮捕されたのだが、彼は20年くらい前から犯行を繰り返し、家宅捜索すると大型のゴミ袋70個、約600点の制服などが押収されたと週刊文春が報じている。
週刊新潮によれば、「高橋は人が少ない土日を狙い、校内で目立たないようジャージ姿で犯行に及んでいた。都内だけでなく、埼玉や神奈川の学校でも盗みを働き、『性的欲求を満たすために20年ほど前からやっていた』と供述しています」(社会部記者)>
そんなことをしないで、アサヒ芸能の「AV大賞」を参考にAVビデオで我慢していればよかったのに。そのアサ芸の「AV大賞2015-2016」を紹介しておこう。女優部門のMVA(最優秀セクシー女優賞)は、癒やし系からの進化がめざましい大天使・天使(あまつか)もえ(21)。14年のデビュー直後にブレイクし、15年は一気に頂点へと上りつめた。得意の癒やし系セックスだけでなく、凌辱や誘惑など新境地のプレイでエロの素質を開花させた。
ママドルで、デカ乳輪と大人の色香はまるで飛び出すエロ本だといわれる白石茉莉奈(29)がアサ芸グラビア大賞。パーツ部門では「一億総勃起ボディ」に香山美桜(22)。熟女部門のMVJ(最優秀ドスケベ熟女)には篠田あよみ(30)。肢体も痴態もフェロモンの塊だそうだ。新人熟女には水原梨花(35)。現役モデル熟女だそうだ。
最優秀作品賞に輝いたのは「おじさんぽ08」(ビックモーカル)。若妻との下町散歩から中出しセックスまでを作品にしてしまった人気シリーズだそうである。出演はなごみ。衝撃デビューで賞は、リベンジポルノを見て「私けっこうイケてる」とデビューを決めるあたりがイマドキ、撮影にも動じずに天真爛漫なセックスを見せた戸田エミリ。
最優秀ドラマ作品には「肉体の悶」(オルガ)。北条麻妃・川上ゆう。超人気女優2人が演技と艶を競った140分の熟女ドラマ作品。戦後復興期の青線を舞台に繰り広げられる女の情念とセックスは必見だそうだ。
三保ヶ関親方が歌って、女将がよそってくれるちゃんこ屋「増位山」の至福
私は食べ歩き+飲むのが好きだ。週刊文春の「斬り捨て御免!食味探検隊」は毎回楽しみに見ている。ここには毎回2つの店が紹介され、100点満点で採点される。斬り捨てというわりには点数が甘いと思うが、それでもどんなによくても90点代前半が多い。だが、今週のはなんと120点付いた店が紹介されているのだ。私が知る限り100点を超えた店は初めてだと思う。さてどんな店か。
東京墨田区千歳にあるちゃんこ屋「増位山」がそれだ。増位山といえば美形の相撲取りだったが、歌もうまかった。「男の背中」「そんな夕子にほれました」は、カラオケの私の十八番である。当人は増位山と同じぐらい上手いと・・・・・思っているのだが。
その増位山は引退して三保ヶ関親方になったが、彼が三保ヶ関部屋をリフォームしてつくった店だという。天井が高く、そこに土俵がデーン鎮座ましましている。その店にウッドペッカー柄のセーターを着た増位山がいたという。
料理のほうはというと、突き出しは鰹節と醤油をかけた湯豆腐。力士味噌(500円)、焼きベーコン添えのポテトサラダ、あげごぼうのチップ(500円)、若鶏の唐揚げ(600円)、秘伝手羽先(600円)。そうこうするうちに増位山が「じゃ、歌います」と土俵入りして歌い始めた。「確かにうまい。そしてエロい美声」が響き渡る。この大番狂わせに店内大いに沸いた。
本命の「鶏つくね醤油ちゃんこ」は1人前2300円。朝絞めたばかりの鶏を使ったつくねがジューシーで、その上よそってくれたのが増位山の女将だった。すべてが最高、大金星で120点。これほどの高評価ならいちどは行ってみなくちゃなるまい。
そういえば、週刊新潮にミシュランで一つ星をとったラーメン店が店を閉めたと報じている。とげぬき地蔵にほど近い「蔦の葉」がそれで、ミシュランに輝いた「Japanese Soba Noodles 蔦」は本店にあたる。人手不足もあり苦情が多いため巣鴨からグループが撤退するというのだ。
支店ともに細い路地に面したところにあり、行列への苦情が絶えなかった。整理券を配ったりして改善に努めたが、諦めたようだ。いっそのこと「予約限定」にして1杯2000円ぐらいで売ったらいいのでは。私は行列するのが嫌いだからこんな店には絶対行かないが。
【蛇足】『創』2月号で矢崎泰久氏が亡くなった野坂昭如氏の葬儀で妻・暘子さんの別れの言葉を書いている。「飲んべえ、目立ちたがり、せっかち、うそつき、いいかげん。まだまだあります。野坂昭如さん」
私のときもこういってくれるよう、カミさんにいっておきたくなる素敵な「送る言葉」である。
元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。
【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか