人気のコーヒー・チェーン「スターバックス」二子玉川店で2日(2016年1月)、福袋を買い求める列の先頭にいた男たち5人が108袋全部を買い占めて運び去り、並んでいた約50人が買えなかった。開店の午前7時には約50人の列ができていたが、先頭に折りたたみ椅子が2つ置いてあり、開店直前に5人の男が現れて先頭に割り込んで買っていった。
その後約30分、後の方は何が起こったのかわからないまま列は動かず、ようやく全員が店内に招き入れられ、「全部売ってしまったので、どう対応するか決めています」と説明があったと言う。
客は「買う方も買う方だが、売る方も売る方だ」「個数制限がなかったのか」「ルールを守ってほしい」など怒った。ネットにも「ふざけるな」などと怒りの声が続々寄せられている。店は全員の名前と連絡先を聞き、夜になって福袋が手配されると連絡があった。
他店では「ひとり3点」「1種類1点」など規制
スタバの福袋は3500円と6000円の2種類あり、男たちが買った108個の総額は50万円超だ。目的は明らかんで、ネット・オークションに2種類セットが1万5000円で出品されていた。
司会の羽鳥慎一「108個買うのは非常識というのと、一人にすべて売っちゃダメだろうというのと両方あるようです」
菅野朋子(弁護士)「非常識と言われても、規制してなければ売らざるをえなかったのかな」
キャスターの宇賀なつみ「良識的に考えれば、ちょっとねえ」
羽鳥「そういう性善説に立ってやっちゃってる。ルール違反ではないわけですよね」
取材した岡安弥生レポーターによると、同じ系列店でも「ひとり3点」「1種類1点」などと規制した店もあった。二子玉川店ではまったくこうした事態を想定していなかった。
では、この福袋は買い占めて転売するに値するのか。内容は福袋でしか買えないタンブラーとか飲み物券とか、金額では2倍くらいのものが入っていた。そりゃお得だ。
羽鳥「知らなかったなあ」
岡安「人気で毎年行列ができるんです」
なぜ店は販売ことわらなかったの?
元百貨店のお客様相談室長でクレーム対応アドバイザーの関根真一氏は「福袋を得るための危機管理というのがあります。それがされてなかった。スタバに限らず、どこでも起こりうる」と話す。
羽鳥「個数制限した方が良かったんでしょうか」
関根「情報をつかんでなかったということです」
羽鳥「並ぶことはどうなんでしょう」
関根「並ぶことの満足度というのもあるんですね。欲しいものには並ぶ」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「まったく理解できないね。売る側が楽しくて並ぶんだと言っていいのかなあ」
菅野「なんで並ぶんだろうというのはありますね」
羽鳥「だんだん近づいてきたなと」(笑)
話を聞いていて奇異な感じがした。スタジオのだれ一人として、「店には売らない権利がある」とは考えていない。「後ろに並んでいる人を見ろ。お前たちには1袋も売らない」と言えるはずだ。そもそもルールなんてあるのか。もしアメリカで起こったとしたらどうだろう。店頭で大騒動になっただろうし、ネット・オークションには「不買運動」が起こったに違いない。モラルと社会規範とルール、さらには自由と自立。日本人はどこか取り違えているのではないか。
それと買い占めた男たちの素性だ。メディアは割り出しに動かないといけない。そっちの方がよっぽど現代を切る番組になる。