007第24作。毎回「シリーズ最高作」というキャッチフレーズで、偉大なるマンネリズムのお約束ストーリーとアクションが繰り広げられる。オープニングタイトルのセクシーなシルエット画、ボンドガールに名前を聞かれ「ボンド、ジェームス・ボンド」と答え、全編に流れるジェームス・ボンドのテーマ曲、カーチェイス、ボンドガールとのベッドシーンというわけである。
「寅さん映画」もそうだったが、ファンは格別なものをこの映画に求めたりしていない。「予定調和」を楽しんでいるのだ。
粋な英国紳士ジェームス・ボンド今や昔
前作「スカイフォール」の写真の謎に迫ろうと、ボンドは上司Mの命令に背いてメキシコ、ローマへと赴く。そこで殺害された悪名高い犯罪者の元妻ルチア・スキアラ(モニカ・ベルッチ)と出会い、悪の組織スペクターの存在をつきとめる。頭脳派Qの協力を得て、スペクター解明の手がかりとなるかもしれないボンドの旧敵Mr.ホワイトの娘マドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)を追う。
007シリーズはイアン・フレミングの原作を離れてからは、秘密諜報員のスパイものから単なる「ドンパチ・アクション映画」になってしまった。もはやショーン・コネリー時代にあった「艶」とか「潤い」というものがない。ダニエル・クレイグの登場によってもそれは蘇ることはなかった。何十メートルの高さから落下しても、銃弾を何発くらってもビクともしない。もうコミックヒーローである。