天皇誕生日会見「15秒間絶句」の深い意味・・・あの戦争の悲惨さを決して忘れてはいけない
週刊新潮は天皇が82歳の誕生日会見で絶句したことを取り上げている。天皇は冒頭、5月に鹿児島県の口永良部島の新岳が噴火したことや、9月には豪雨により鬼怒川などが氾濫して8人が亡くなった災害について話し、二人の日本人がノーベル賞を受賞した喜びなどに続けて、こう語り始めた。
「今年は先の大戦が終結して、70年という節目の年にあたります。この戦争においては、軍人以外の人々も含め誠に多くの人命が失われました」
ここでいったん「お言葉」が途切れ、続く「平和であったならば、社会のさまざまな分野で有意義な人生を送ったであろう人々が命を失ったわけであり、このことを考えると、非常に心が痛みます」にいくまで「沈黙の15秒」があった。このことが「天皇陛下がご高齢であることを再認識させられる」(宮内庁記者)ことになったというのである。
8月15日の全国戦没者追悼式でも黙祷の前に「お言葉」を述べてしまうなど、天皇の体調を心配させるハプニングが起きていた。だが、そのことについて天皇は会見の中で「私はこの誕生日で82になります。年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました。したがって、一つ一つの行事に注意深く臨むことによって、少しでもそのようなことのないようにしていくつもりです」と率直に語っている。
天皇は高齢である。少しぐらいの間違いやもの忘れをとやかくいうものではない。それよりも天皇がここに込めた「あの戦争の悲惨さを決して忘れてはいけないという思い」を、われわれは重く受け止めなければいけない。
23日夜の「報道ステーション」で古舘伊知郎キャスターは、天皇についての長い特集を組み、戦争で亡くなった人たちへの鎮魂と沖縄に対する天皇の強い思いを何度も繰り返し伝えていた。
天皇の今回の「お言葉」は、明らかに日本の戦争を美化し戦前回帰を強める安倍自民党への強い批判である。そこをはっきり伝えず、高齢による老化を心配するふりをして天皇の言葉の重みを減じようというのは、安倍首相の意を汲んでのことではないかと邪推したくもなる。
そういえば、テレビ朝日は古舘キャスターが来年3月いっぱいで降板することを発表した。安倍自民党の圧力に古舘が嫌気がさしたのか、テレビ朝日が圧力に屈したのだろうか。「NEWS23の岸井成格アンカーマン批判といい、この国の言論はますます危うくなっている。
それなのに、大新聞は新聞に「軽減税率」適用をしてくれる安倍自民党に擦り寄るポチに成り下がっている。恥ずかしくないのか。