ぜんそく薬の成分に認知症の進行を抑える効果があることがわかったと国立長寿医療研究センターが発表した。最新の研究では、認知症は神経細胞にあるタンバク質「タウ」の異常によって起こると分かってきた。タウ本来は神経細胞を安定させる役目を担っているが、何らかの異常で凝集すると毒性を持って神経細胞を殺してしまうと考えられている。
間に合うか?実用化は10年先
このぜんそく薬は重症の患者に使われるもので、その成分をマウスで実験したところ、タウの異常を抑える効果が確かめられたという。アルツハイマー型認知症の進行を抑える作用があると見られる。ただし、実用化は10年先だという。
高木美保(タレント)「ぎりぎり間に合うかな」(笑)
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「すでにある薬なのに、なんで10年もかかるの?」
司会の羽鳥慎一「ない薬だったらもっとかかる」
横浜市立大の鈴木ゆめ教授によると、従来の薬は残った細胞を生かすものだが、これは異常の進行を止める作用が画期的なのだという。
玉川「死んだ細胞を元へ戻せるわけではないんですよね」
鈴木教授「ではないですね」
羽鳥「進行を遅らせるのではなくて、進行を止められる?」
高木「その違いは大きいですよね」
玉川「ぼくはぜんそくなんですが、どんな薬ですか」
鈴木「重症用で副作用もあるので、普通に使う薬ではないです」
信号渡りきれなくなったら要注意
厚労省の推計では、65歳以上の認知症患者は現在517万人(実際はもっと多い)。これが45年後の2060年には850万人で、65歳以上の実に4人に1人だ。これが95歳以上になると10人に8人ともいわれる。
さらに問題なのは、現在の517万人の背後に、予備軍ともいえる軽度認知障害の人たちが約300万人もいることである。5年後にはその50%が認知症になると見込まれている。
鈴木教授はこう解説する。「50%が認知症というのを減らすことが重要になります。予備軍段階で周囲が気付くかどうか。認知症は知的機能の低下――記憶、知名力、計算、判断力、料理などが1人で生活できない段階になった状態で、その前段で気づくことが大切です」
アルツハイマー型は進行が遅いので、毎日会っていると気づかない。そこでたまに会う人に聞いてみるといいという。年寄りは試されることを嫌うので、「きょうは何日だっけ?」「いくつになった?」という何気ない問いかけがいいらしい。
もう一つは歩くスピード。人に追い越されると自覚する高齢者は多いが、信号が渡りきれるかどうかが目安という。信号は秒速1メートルで設定されているからだ。