信号渡りきれなくなったら要注意
厚労省の推計では、65歳以上の認知症患者は現在517万人(実際はもっと多い)。これが45年後の2060年には850万人で、65歳以上の実に4人に1人だ。これが95歳以上になると10人に8人ともいわれる。
さらに問題なのは、現在の517万人の背後に、予備軍ともいえる軽度認知障害の人たちが約300万人もいることである。5年後にはその50%が認知症になると見込まれている。
鈴木教授はこう解説する。「50%が認知症というのを減らすことが重要になります。予備軍段階で周囲が気付くかどうか。認知症は知的機能の低下――記憶、知名力、計算、判断力、料理などが1人で生活できない段階になった状態で、その前段で気づくことが大切です」
アルツハイマー型は進行が遅いので、毎日会っていると気づかない。そこでたまに会う人に聞いてみるといいという。年寄りは試されることを嫌うので、「きょうは何日だっけ?」「いくつになった?」という何気ない問いかけがいいらしい。
もう一つは歩くスピード。人に追い越されると自覚する高齢者は多いが、信号が渡りきれるかどうかが目安という。信号は秒速1メートルで設定されているからだ。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト