2020年の東京オリンピック・パラリンピックの主会場となる神宮外苑の新国立競技場建設で、日本スポーツ振興センター(JSC)はきのう14日(2015年12月)、応募の2案を発表した。審査を経て年内にどちらかに決まる。
応募は2件だけで、JSCは名前を公表していないが、A案は大成建設・隈研吾氏のグループ、B案は竹中工務店などと伊東豊雄氏のグループという。
建設費1500億円弱、2019年11月完成
A案の建築家・隈氏は歌舞伎座、Sunny Hillsなどをてがけ、木を多用することで知られる。B案の伊東氏はTOD'S表参道ビルなどを手がけたほか、東日本大震災での活動で、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受けている。
どちらも実績十分でかつ売れっ子だ。
2案はタイトルが「杜のスタジアム」とまったく同じで、ともに木を多用しており、周辺の植栽も多く、目に優しい似通ったデザインになっている。JSCは両案とも工期も含めて要求水準書を満たしていて、「ホッとしている」とコメントしている。今回は、日本の伝統文化への配慮、木材を使うなどの条件のほか、建設費に上限1500億円、施工計画までを含むとしていた。工期は20年4月としていたが、両案とも19年11月完成という計画だ。
街の意見はA案優勢
司会の羽鳥慎一「デザインは見た目は似てますね。木をたくさん使っているところが特徴ですが、日刊スポーツはそれぞれ法隆寺と縄文遺跡からのイメー ジだと伝えています。いったいどちらになるんでしょうか」
どちらがいいか、好みは人それぞれ。「モーニングショー」が街で聞くとA案が優勢だったが、五輪組織委の森喜朗会長は「B案がいい」とまだ口出ししている。また、当初案を没にされたザハ氏は「大会後もスポーツの重要な遺産であるためには高いコストがかかる」と恨み節。
青木理(ジャーナリスト)は「条件があるから似たようなものになりますよね。どっちとはいいにくい」
浜田敬子(「アエラ」編集長)「最初からこういうコンセプトをはっきりさせておけば、2度もやる必要なかった」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「地上に立って見るわけだから、柱の大きいB案かな」
建築家の森山高至氏は「似てるといいながら、地上から見た時はかなり対照的」という。A案は天井、壁面に木を多用して圧迫感をなくしているが、B案は壁面をなくして柱で見せて荘厳さがあると話す。「どちらが周囲にとけこむか、面白いところ」
羽鳥「予算がふくらむことはないのでしょうか」
森山「詰めているので、ないと思います」
羽鳥「維持費はどうなのでしょうか」
森山「維持費はカギになると思いますね。たとえば、植栽の管理は人間の思う通りにならないことがあります」
羽鳥「最初からこうすれば良かったのに」
森山「そうですね。ただ、これが国民的な議論になったのはよかったです」
羽鳥「ザハさんが悪いわけじゃないが、ザハさんに払ったお金はなんだったんだろう」
森山「高い勉強代というしか・・・」
青木「不透明だったし無責任だったし、走り出したらとまらない箱ものに金をかけるとか、解決したわけじゃないから、もう1回考えないと」
もうひとつ、親方日の丸だと建設業界がたかり体質を丸出しにしたのがある。こいつばかりはつけるクスリがない。