「ノーベル賞」賞金は非課税!湯川秀樹受賞で旧大蔵省が例外規定
ノーベル賞の授賞式も滞りなく終わったようだが、『週刊新潮』は意外に日本人が知らないノーベル賞の「トリビア」について書いてくれている。賞金額は800万スウェーデン・クローナで、単独受賞なら約1億1500万円。今回は共同受賞者がいることから分割され、大村智北里大学名誉教授(80)が2800万円、梶田隆章東京大宇宙線研究所長(56)は5600万円ほどを手にするそうだ。
振り込むか小切手で支払われるこの賞金が、日本で非課税となったきっかけは49年、日本人として初受賞した湯川秀樹博士にさかのぼるそうである。物理学賞の博士が受けたのは約3万ドル(現在の8000万円に相当)だったという。戦後生きることなど思いもしなかった世代にとって、「湯川受賞」は美談そのものだったから、当時、その賞金に課税するのはいかがなものかという議論が起こったそうだ。「それを受け、所得税法が改正されたのです」(財務省主税局)
その結果として、翌50年、ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品は非課税となった。その金品は財団の基金から出るのだが、現在550億円ほどのおカネを国内外の株式やヘッジファンドなどに投下し、通年で「3・5%以上の運用益」を目標にしているという。
ノーベル賞の中でも「経済学賞」だけはノーベル基金から金品が公布されない賞である。この賞はスウェーデン銀行が創立300周年を記念して、経済学賞を作りたいと財団に申し入れた。それが1968年のことだという。<「当初、財団はノーベルの遺志に反すると撥ねつけていたものの、最後は折れた。賞の正式名称は『アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン銀行経済学賞』と冗長で、それに、賞金を支払うのも銀行なのです」(北尾利夫氏)>
「経済学賞はノーベル基金から支払われないため、課税の対象となります」(国税庁)というから、やはり税務署は厳しいものである。