奈良県立奈良北高校1年の男子生徒が4日(2015年12月)、期末テストでカンニングを疑われ飛び降り自殺した。2時間目のテストが終わり、10分間の休み中に自殺した男子生徒が消しゴムに何かを書き込んだとして、同級生がこの消しゴムを教諭に手渡した。3時間目のテストの最中に男子生徒はトイレに行きたいと席を外し、4階から飛び降りた。
答案用紙の裏に「からかわれたりバカにされたりする。もうきついです」
学校側は男子生徒がテストの答案用紙の裏に「俺はカンニングをやっていない」と書いていたこと、消しゴムにはカンニングと見られる不正な書き込みはなかったことを明らかにし、自殺はカンニングを疑われたことが原因とみられていた。
ところが、阿部祐二レポーターが男子生徒の両親を訪ねると、「自殺の本当の理由を伝えたい」と話し始めた。答案用紙の裏には、学校が明かさなかったいじめの事実が書かれていたという。両親と兄弟あてに「今までありがという」の文言と何人かの名前のほかに、「からかわれたり、バカにされたりするのがとても辛かった。ただ、他によくしてくれる友だちがいるので何とか乗り越えてきたけどもうきついです」と書かれていた。
男子生徒へのいじめが始まったのは入学して1か月がたった5月ごろからだった。母親にLINEを見せて「こんなの何回も送ってくるねん」と訴えた。母親は「悩んだ顔で見せたわけではなくて、明るく『でも大丈夫だから、こんなん削除したらいい。気にしない』と冗談のような感じで話していた」という。
両親はこのいじめについて担任に相談した。担任がいじめを注意し、いったんはなくなった。さらに学校側は6月と11月の2回、いじめについて生徒にアンケート調査を実施し、男子生徒がこのアンケートに何も書かなかったことから、いじめはなくなったと判断していたらしい。
いじめの元凶「学級制度」仲間ごっこの強制
阿部「5月からずっといじめがあって、その延長線上の最後がカンニングの疑いだったと思います」
司会の加藤浩次も「カンニングしていないのに『お前カンニングしただろう』って、これいじめですよ」
評論家の宇野常寛「いじめをなくすには、学級制度を見直すしかないですよ。365日1時限から5時限までずっと一緒にいるからいじめが起こる。日本の学級って、与えられたハコの中で空気を読む能力、コミュニケーション能力の開発ばかりで片寄っちゃう。自分にあったハコを探す能力とか、ヤバイ共同体にあったら逃げるとか、それがコミュニケーション能力なんですよ」
教諭にいじめに気付く能力がないうえ、逃げ場のない今の学級制ではいじめによる自殺はなくならないのかもしれない。