出演者とスタッフの程よい緊張関係
今回、プロデューサーが怒鳴りちらした試写の段階では、出演者を持ち上げすぎて中身がペラペラなものに仕上がっていたのだ。スタッフみんなで撮影した素材を探し直したところ、実はもっと面白いコメントや心に残るようなコメントをしている映像を見つけることができた。
なぜこんないい素材を落としたのか問われたディレクターは、「なんか、出演者がカッコ悪く見える気がして・・・。ちょっとエラそうな言い方しているから、出演者が損をすると思って」と口ごもりながら言っていた。そう、これもよくあるケースだ。密着取材して、その後ずっと編集期間に入ると、何が良くて何が悪いのか、何が面白くて、何がつまらないのか。もう、なにがなんだかわからなくなってしまうのだ。だからこそ、プロデューサーが俯瞰して物を言わない。
ところが、これができないプロデューサーも多い。出演者にべったりで、出演者を尊敬しつつも、使う側と使われる側であるという大前提を忘れているんじゃないかしらと頭をかしげることがある。親子ほど年の離れた人気タレントに、「いいですね~、サスガですね~」と褒めちぎって、改善点をまったく言わない。一出演者と一スタッフ、その関係性がいい番組ほど内容も充実していていい番組になる。
モジョっこ