丸川環境相「増設続けばCO2削減目標守れない」
さて、日本だ。来週30日(2015年11月)からパリで開かれる気候変動枠組み条約の締約国会議COP21に向けて、日本政府は30年までに温室効果ガスを13年比で26%削減を打ち出した。しかし、これがややこしいことになっている。来年(2016年)4月の電力小売り自由化だ。他業種の参入で熾烈な価格競争が予想されるが、ここで石油火力の3分の1とコストの安い石炭火力が浮上した。全国でいま少なくとも40の建設計画が出ている。コストは安くても、CO2の排出量は20%増える。
たまりかねた丸川環境相は「40基が稼働したら温室効果ガスの排出量の目標は守れない。現段階では是認できない」とけん制した。しかし、推進する経済産業省は設備の改良と最新技術の活用で両立は可能という。福島原発事故で止まった原発を補うために、現実に石炭火力は復活しているし、90年代から石炭の使用は増えている。
さらにややこしいことに、政府は途上国への石炭火力発電所の輸出を進める。途上国はコストが安いことが最優先だ。インドネシアでは、すでにいくつもの石炭火力発電所が日本商社が受注してつくられている。徳島・阿南の最新設備は途上国からの見学が絶えない。広島では次世代の石炭ガス化のプラントもテスト中である。排出ガスは天然ガス発電に近くなるという。
日本の動きは何ともチグハグである。OECDなどの目も厳しいらしい。高村教授は「石炭火力はエネルギーの使い方を考える上での問題提起になると思います」という。うーむ、わかったような、わからんような。
*NHKクローズアップ現代(2015年11月26日放送「シリーズ瀬戸際の温暖化対策②『石炭』めぐる攻防」)