大阪府知事・市長のダブル選挙があった22日(2015年11月)、投票所で70代の投票管理者が投票を済ませた有権者に「ご苦労さんです」と声を掛けていたところ、男が突然キレて暴れ、暴行容疑で逮捕された。男は会社員の中村隆生容疑者(47)で、「『ご苦労さん』というのは目上の人が目下の者に使う言葉だ。『お疲れさま』だろう。オレはお前の目下の者か。謝れ」と怒鳴りながら机を投げ飛ばした。さらに、管理者の頭部を平手打ちし、「もう1回やったら机の角を脳天に突き刺すぞ」と脅迫したという。
「ベビーカー邪魔だ」「車内放送納得できない」・・・些細なことで暴力
明治大学文学部の齋藤孝教授によると、「『ご苦労さん』は目上の人が目下の人に使う。ある役割を果たしたことに対してねぎらう言葉で、年配者が使うのは自然のこと。今回は間違っていない」という。
勘違いしてキレた中村は警察の調べに「やりすぎた」と話しているが、こうした些細なことでキレやすい大人が増加しているようだ。今年9月(2015年)、東京メトロ有楽町駅地下通路で、64歳の男が擦れ違いざまにベビーカーに乗っていた1歳の男児の顔を殴り現行犯逮捕された。男は「邪魔だと思って腹が立ってやった」と話した。今月11日、57歳の男が停車中の電車から飛び降り、怒鳴りながら車掌室に石を投げて逮捕された。理由は「車内放送に納得できなかったから」
弱い相手と見るや居丈高に
「とくダネ!」が街で聞いた。20代の妊婦は「マタニティーマークをカバンに付けていたら、おばさんから『マタニティーマークを付けているからって偉いわけじゃないわよ』と言われショックを受けていたら、そのおばさんがUターンしてきて肩を強くドンとどつかれた」と話す。司会の小倉智昭も「JR新宿駅を歩いていたら、『おい、とくダネ!歩いてんじゃねーよ!』と言われた。まぁ、ありますよね」
コラムニストの深澤真紀「キレる大人が嫌なのは、弱い立場の人を相手にキレるからです。偉い立場の人にキレるのはカッコいいんですが、だいたいがキレてもいい相手を選んでキレるというので、非常に不愉快」