どこか憎めぬ側溝男「私は道になりたい」学習障害児がやっと見つけた心落ち着く場所

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   私は子供の頃、鬼ごっこで隠れるのがうまかった。こんなところに入れないだろうと鬼が探さない狭いところに潜りこみ、日暮れて仲間の子どもたちが家に帰ってもそこを離れなかったから、決まって探しに来た父親に叱られたものだった。家の中でも部屋の隅にコタツやちゃぶ台で囲って小さな自分の城を築き、日がなそこで本を読んだりしていた。

   だから、側溝に身を潜めて女性のスカートの中を覗いていたとして、兵庫県迷惑防止条例違反で逮捕された28歳の男の気持ちは理解できなくはない。逮捕された彼は「私は道になりたい」と名言を吐いたそうだ。

   昔、「私は貝になりたい」というフランキー堺主演のテレビドラマを思い出した。この男、ガキの頃から手癖が悪くてではなく、側溝が大好きだったらしい。小学生の頃からよく側溝に入っていたと『週刊文春』で同級生が証言している。落ち着きがなく「学習障害」と診断されていたようだが、なぜか側溝の中ではジッとできたという。

   母親が週刊文春の取材に対して、これまでも何度か警察から注意されたことがあったと話している。休みの日のお昼頃出ていって、側溝で過ごすことがよくあったという。母親が息子に「なぜ止められないのか?」と聞いても、「わからへん」と答えるだけだったという。心療内科にも通っているそうだ。<「本人も悩んでいるし,家族も悩んでいます。なるべく明るくしようとしていますが・・・難しいですね」(母親)>

   現場は「関西一顔面偏差値が高い」(週刊文春)と評される甲南女子大学の最寄り駅の近くで、その側溝は郵便局の入り口前にあり、昼時には行列ができるという。今回、30代の女性が側溝から髪の毛が出ているのを見つけて御用となった。

   スカートの中を盗撮することと同じ犯罪行為なのだろうが、なぜか憎めない。自分が寝ている上をスカートを穿いた女性たちが何人も跨いでいくという「夢」を見た男は多いのではないか。私もそのひとりである。ただ、汚い側溝に入る気はしないが。

「顏剥ぎ殺人」痴話げんか絶えなかった養子縁組カップル!同居ニューハーフ「私は無実」

   次も週刊文春の事件報道だが、複雑で内容を正確に紹介できるか心許ない。惨劇が起きたのは11月12日(2015年)の夕方のようだ。場所は米軍横田基地にほど近い福生市のマンションで、殺されたのは土田芳さん(38)。遺体は布団に包まれていたが、顔の皮膚が剥ぎ取られていたという。

   通報したのは同居人のA氏(28)だった。2人の関係がなかなか複雑で、土田さんはもともと女性で、手術を受けて男性に転換していた。A氏は女性ホルモンを投与しているニューハーフで、女性器を形成したわけではないので戸籍上は男性で、二人は養子縁組をして、A氏は戸籍上、土田氏の「息子」になっていた。土田氏の女性として結婚していた頃の写真と、最近の髭を生やした精悍な顔が掲載されているが、とても同一人物とは思えない。

   二人の出会いは<「性的マイノリティが集うSNSのコミュニティだった」>(週刊文春)らしい。土田さんは155センチ、A氏は175センチだというから、「男が2人歩いているように見えた」(週刊文春)

   私などは2人の「生活」がどんなものだったのか想像することもできないが、土田さんはA氏の影響で水商売をするようになったという。A氏の整形費用なども土田氏が出していたそうだ。だが、喧嘩が絶えなかったという。原因はA氏の浮気で、土田さんが暴行罪で現行犯逮捕されたこともあった。

   最近は土田氏はAとの養子縁組を解消しようとしていたが、Aが応じてくれないと嘆いていたという。一方のA氏のほうも「暴力を振るわれているのよ。殺してやりたい」と「夫」への憎悪をぶちまけていたそうだ。

   そして事件が起こる。殺すだけではなく、顔まで剥いでいるところを見ると、物取りではなく、犯人は相当に土田氏に憎悪を抱いていた者であろう。犯人はすぐ分かりそうだと思うが、そうではないようである。

   A氏は週刊文春の取材にショートメールで、「お話し出来る事が有ればしたいですがなにもしてないのと知らないのです。(中略)私が無実な事です」と送ってきた。推理小説なら、犯人逮捕まで二転、三転することもあるが、この事件の結末は果たしてどうなるのであろう。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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