日本国内の爆買いツアーなんてほんのおこぼれ
中国の個人消費に占める通販の割り合いは日本やアメリカより高い。もともと中国人は貯蓄率が高い。金融資産のある層が20代から40代と若い。通販人口も4億人。条件はそろっている。
このバーゲンに今年初めて挑戦した子供服の「ミキハウストレード」は目玉として評判のいい「クツ」を4割引で投入する予定で、2万1000足を用意していた。執行役員の千田弘志さんが打ち合わせで杭州の「アリババ」本社を訪ねると、担当者が示した売り上げ目標は「2億円」だった。日本の10倍だ。さらに2万足を追加したいという。「120店舗でひと月に売る数ですよ。それを1日で?」という千田さんに、担当者は「不足したら客が逃げる」という。
生産を前倒しして1万足を追加したが、千田さんは「そんなに売れるのか」と半信半疑だった。いざスタートしてみると、予想を超えるスピードでさばけていった。3000足が残ったが、売り上げは2億6000万円と目標をはるかに超えた。千田さんは「自分たちにない世界が現実にできていた」という。
中国政府は従来の外需と不動産投資依存の経済から、内需主導へと構造転換を図っている。頼みは爆買いを産む庶民の購買力だ。「独身の日」の1日は13億人の購買力をいかんなく示したわけだ。
通販人口4億人はヨーロッパや日本を全部ひとまとめにしたより多い。日本国内の爆買いツアーなんてほんのおこぼれってわけか。なんとも大変な隣人をもったものよ。
ヤンヤン