世界アンチ・ドーピング機関(WADA)はおととい9日(2015年11月)、ロシア陸連のドーピングを認定して資格停止を勧告した。これにたいして、ロシア側はきのう「大した違反ではない」「証拠がない」などと対決の構えだ。リオ五輪の出場がかかるだけに、国際オリンピック委(IOC)を舞台に大騒動になりそうである。
陸連、コーチ、選手、医師ぐるみ
昨年末に欧州メディアがドーピング疑惑を報じたのを受けて、WADAは独立委員会で調査を進めてきた。9日に公表された報告書は、ロシア陸連がコーチ、医師、選手ぐるみで組織的にドーピングを行っていたという衝撃的なものだった。
独立委は「想像よりもひどい。ソ連時代の習慣がまだ残っているようだ」とした。旧ソ連時代のソ連・東欧は、国が丸抱えの「ステートアマ」と呼ばれ、五輪やW杯のメダル獲得にドーピングを含めなりふりかまわなかった。
今回の調査では、コーチを中心に選手にドーピングをさせていただけでなく、ドーピング検査を逃れるための不正も明らかになった。検体の差し替えや抜き打ち検査情報を取るための買収、さらにはロシアの検査機関は意図的に1417の血液検体を破棄していた。
WADAはIOCと国際陸連に対して、ロシアがWADAの規定に従わない限り、ロシア陸連からの選手のエントリーを受け入れないようにと勧告した。勧告が受け入れられれば、ロシアの陸上選手はリオ五輪はじめ国際競技に一切出場できなくなる。
さらに、違反に関わったコーチ4人、医師1人、選手5人を陸上界から永久追放すべきだとも勧告した。この中には、ロンドン五輪の800メートル金メダルのマリア・サビノワ、銅メダルのエカテリーナ・ポイストゴワも含まれていた。