中国の遼寧省瀋陽市で先週末からPM2.5の汚染が深刻化している。新華社によると、おととい8日(2015年11月)の市内は「6段階中最悪の厳重汚染」となった。濃度は1400マイクログラム超(1立方メートル当たり)で、日本の環境基準のなんと40倍だ。これが朝鮮半島をかすめ、日本海を渡ってくる可能性は高い。
日本でもすでに呼吸器科患者2倍
動画サイトに投稿された映像をみると、大気は灰色で、昼間だというのにまるで夕方のようだ。視界は500メートルあるかないか。前の車が減速したのが見えなかったのが、急ブレーキをかける車もある。市民はみなマスクをかけている。
中国東北部では先月下旬から石炭による「集中暖房」が始まった。これと車の排気ガス、工場の排煙が重なって、毎年冬はこうなる。ありがたくない風物詩である。
この汚染状態を、滋賀県立大の永淵修教授は「喉の痛み、セキが出ます。循環器系に病気を持ってる人には悪いでしょうね」という。マスクが売れ、病院の呼吸器科を訪れる患者は普段の2倍近いという。
「厳重汚染」になると、当局は工場の操業停止や車両の規制をするが、これが遅れたと新華社通信は市の対応を批判した。しかし、暖房は止めるわけにいくまい。これが最大の汚染源であるのは間違いない。
ぜんそく、気管支炎などのリスク
司会の夏目三久がPM2.5の大きさを示すイラストを見せたが、髪の毛の断面の約10分の1ミリ、スギ花粉の30分の1ミリに対して、PM2.5は400分の1ミリ以下とけた違いに小さい。そのため、肺の奥に入り込みやすく、ぜんそく、気管支炎などのリスクを高める。
夏目「高齢者は注意が必要なんですよね」
火曜レギュラーの沢松奈生子(元プロテニスプレーヤー)「中国にいるお友だちが、子どもを公園で遊ばせられないのが最大の悩みだといっていましたね。何とかしてほしい」
野村修也(弁護士)「映像を見ても、これじゃあ外に出せないでしょうね」
これが日本へ流れてくるかどうかだが、中国北東部の汚染は偏西風に乗って北朝鮮北東部から日本海へ流れる。拡散の度合いにもよるが、日本列島の北陸地方から東日本に至る可能性はある。
永淵教授は「飛来の可能性もありますが、現在は濃度が下がっているので気にしなくてもいいのでは」という。いやいや、中国のPM2.5は瀋陽だけじゃない。北京なんかもこれから本番だ。
夏目「見えないモノだけに怖いですよね」
野村「中国でどう防止してもらうのか。日本が協力できることはないかとも考えたいですね」
「人間は丈夫だねえ」なんて実験にされたんじゃかなわない。