接骨院で施術を受けたと偽り、健康保険の医療費をだまし取ったとして、警視庁はきのう8日(2015年11月)までに、指定暴力団住吉会系組長三戸慶太郎 (49)ら16人を詐欺の疑いで逮捕した。患者の協力者は1000人近くになり、詐取の総額は約1億円になるとみられる。
協力者にお笑い芸人
調べによると、三戸らは11年8月~13年6月、杉並区の「杉並すこやか接骨院」(すでに廃業)を舞台に不正請求を繰り返していた。直接の逮捕容疑は、患者4人の施術を新宿区などに申請して45万円をだまし取った疑い。
整骨院は辺土名朝紀容疑者(36)=同容疑で逮捕=が経営していたが、実質的には三戸の経営で、配下の組員らが集めた健康保険証のコピーをもとに申請書を作成していた。11年6月~13年10月に療養費約2700万円を受け取っている。
三戸らはこのほか、千葉県内の歯科医院や都内の美容外科医院も使って同様の詐欺をしていたとみられる。患者として、組員やお笑い芸人を動員していた。お笑い芸人は「先輩からただでマッサージしてくれるからといわれて行った」と話している。
三戸らは会社などの健康保険組合加入者を避け、チェックの甘い国民健康保険加入者を主に使った。療養費請求の9割(約300人)が国保加入者だった。その半数は1度も通院していなかった。
「暴力団・医療機関・健保加入者」がグル
医療費の不正請求は、市町村から患者に送られてくる医療費の通知に不審があってバレることが多いが、患者まで抱き込んで仕組むと気付くのはむずかしい。暴力団がこれを悪用して新たな資金源として目をつけたのだろう。
司会の夏目三久「医療費に目を付けるとは・・・」
牧嶋博子(TBS解説委員)「医療制度は診療報酬で不正をするはずがないという『性善説』に立っているから、摘発しずらいこともあります」
夏目「防ぐにはどうしたらいいんでしょうか」
牧嶋「二重チェックの徹底ですね。国民健康保険と健康保険組合が、患者と診療機関に診療が行われたかどうかをチェックしないといけない。患者の方も領収書をとっておいて、チェックが必要です」
いや、その患者を巻き込んでいるのだから、それではわかるまい。警視庁はよく見つけ出したものだ。むしろ、そのあたりが知りたい。