知ったら怖くて入れない繁華街木造雑居ビル「火事になったらたちまち丸焼け。避難路なし」

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

京都市は各担当部局連携で物件ごとの診断書

   こんな話の中で木造家屋がびっしり並んだ京都の町並みが出てくると、ギョッとする。ひとたび火が出たら応仁の乱さながらは間違いなかろう。いま京都では築100年以上という建物が次々とレストランやカフェに改装されている。既存の建物を利用した宿泊施設も急増している。京都市は動いていた。

   建物の安全を担当するのは建築安全推進課だが、これに防火の消防局、飲食店の営業許可を所管する保健福祉局、宿泊施設に詳しい産業観光局が加わって、建物の安全に関する情報の共有を図っているのだ。建物ごとに1枚の紙にそれぞれの局が情報を書き込み、一覧できるようにした。これで安全を脅かす火種を未然に察知して防ごうというアイデアだ。

   所有者からの情報収集にも力を入れている。「定期報告」も以前は飲食店は床面積1500平方メートル以上が対象だったが、2年前に500平方メートル以上にした。これで対象は600件から3900件に増え、窓口での「定期報告」をめぐる職員と所有者のやりとりも具体的で熱がこもるものになった。

   長谷見雄二・早大教授は「京都の試みはすばらしい。建築物の安全は建物と消防対策と管理者の意識にかかっています。弱点を共有することで、弱いところを他が補うとかができる。安全を考え直す機会になると思います」という。

   火事になったメイドカフェに花をそなえている男性がいた。火災で建物の実態を知って驚いたという。「危険だなんて思いもしなかった」という。そうなんだ。雑居ビルに入るとき、非常口や窓の外がどうなってるかなんて誰も考えない。心配し出したら、酒なんぞ飲んでいられなくなる。

ヤンヤン

*NHKクローズアップ現代(2015年11月5日放送「繁華街に潜む「死角」 『メイドカフェ火災』の波紋」)
姉妹サイト