ひき逃げ犯は93歳の女性だった。福岡県警はおととい3日(2015年11月)、みやま市内で道交法違反などの容疑で逮捕した。女性は調べに対し「ぶつかっていない」と話しているという。
事故は2日午後3時50分頃、交差点で女性の運転する軽ワゴン車と高校生の原付バイクが衝突した。高校生は脳損傷などで意識不明の重体だが、軽ワゴン車はそのまま走り去った。しかし、目撃証言や現場に散乱していた軽ワゴン車のランプの破片などから車を探り当て、運転者にたどり着いた。女性は「ガードレールにはぶつかったが、人ははねていない」といっている。
この女性は買い物などで毎日のように運転し、健康に問題はなかったという。近所の人は「頭はいいし、物覚えもいいし、記憶力もあるし、いい人だ」という。柳川署によると、認知症と見られるような症状もないという。それどころか、女性は事故のあと車を修理工場に持ち込んでいた。女性が証拠隠滅を図った可能性もあるとみて調べを進めている。
歩道暴走、ペダル踏み間違い、ビル突っ込み・・・
交通事故の発生件数は年々減っているが、高齢者が関係する事故は増えている。先月31日(2015年10月)には愛知・知立市で、76歳の男性が運転する車が飲食店に突っ込み、11人がケガをした。アクセルとブレーキを踏み間違えたという。29日には鳥取で71歳運転の車が自転車をはね女性が死亡。28日には宮崎市で軽乗用車が歩道を暴走し、女性2人が死亡、男女5人が重軽症を負った。運転していた73歳の男性は認知症の治療をうけていた。
さらに、今月2日には京都・向日市で67歳男性(女性が死亡)、札幌市で70代女性(2人けが)、福岡市で74歳男性(女性死亡)が重大事故を起こしている。きのう4日も、愛知・豊田市で80代男性(3人死傷)、宮崎市で70代男性がビルに突っ込んだ。
改正道交法では適性試験で免許停止や取り消し
改正道交法では、交通違反などをした高齢者に適性試験をして、問題があると判断した場合は運転免許停止、取り消しができるようになった。自治体によっては、免許証の自主返納をうながしたり、バスの送迎サービスやタクシーのチケット配布などに取り組むところもあるが、返納はあくまで本人次第だ。認知症になれば、ますます正常な判断はできなくなる。
牧嶋博子(TBS解説委員)「これ見てると、自分の親は大丈夫か、自分自身もいつまでハンドルを握り続けていいのか、考えてしまう人は多いと思いますね」
司会の夏目三久「対策が急がれますね」
龍崎孝(TBS解説委員)「周りがハラハラしながら見ていても、なかなか言えないでしょう。ある年齢が来たら、免許証の更新間隔を短くするとか、細かな適正検査をするとか、対応を迫られてますね」
かつてわが父親が、危ないからと警察へ行って「免許を取り消してくれ」と頼んだことがある。その時はできなかった。この6月の改正道交法でようやくだ。10数年経っている。急いで対策なんて、この国ではできない。