建物の基礎工事の杭打ちデータ改ざんが次々と明らかになっている。旭化成建材が明らかにしたところでは、横浜のマンションを担当した施工管理者は計43件を担当し、うち19件でデータの偽装・改ざんが行われた。別の複数の施工管理者が担当した12件でも改ざんがあった。過去10年間に行った3040件の杭打ち工事で、データ改ざんの疑いがあるのは300件前後、関与した施工管理者はわかっているだけでも30人以上にのぼる。
これについて、親会社の旭化成は「書類をまとめてなくしたとか」「施工報告書をきっちり作成することをあまり重視していなかった」などとしていて、管理体制が不備だったと謝罪した。しかし、「会社ぐるみという表現がふさわしいかどうかは、もう少しお時間をください」(平居正仁副社長)と述べた。
「1本足りなくても周りの杭で支えられる」
旭化成建材などから30年近く杭打ち工事を請け負っていた元施工管理者が、JNNの取材にこう話す「はい、私もやっていました。私以外の人間もやってます。多少のデータ操作はスタンダードなこと」「元請け(建設会社)から『データが足りないなら適当に作ってでも出せ』『とにかくデータは全部揃えろ』といわれたこともある」
改ざんの指示だ。旭化成建材関係での仕事だったという。
「偽装ありありの環境で、初めは不安だった」というが、「慣れてくると、1本足りなくても周りの杭で支えられる。実際大丈夫なんだから『足りてました』という報告書にした方が楽だという現実はある」という。データがとれなかった、汚れたというのはすべて報告はするが、下手をすると会社が潰れることになるから書類だけは整えたと明かす。
ただ、安全性については、「杭打ちは安全性に余裕をみて計算されていて、データが改ざんされていても安全性は確保されている」と言い切った。改ざんは他の会社でもあったという。「私はやりました。他の会社でも。ちゃんと追及すれば、わかることです」
多少の不良あってもバレなければOK
業界全体が多少の不良でも大きな影響は出ないという考えになっていて、工事期限に間に合わせるため、データが取れなかったものを書類上で辻褄をあわせる。責任はすべて下請けに押し付ける――これが慣行なのだという。
司会の夏目三久「元請けが指示していたという証言です。どう思いますか」
龍崎孝(TBS解説委員)「業界全体ではないかという疑いですね。もう社会問題ですから、業界全体で対処して、消費者の安心を何らかの形で確保しないといけないと思います」
それができる業界なら、もともとこんな問題起こさないと思うがね。