宮崎駅前で軽乗用車で歩道を暴走して6人を死傷させた運転男性(73)は、数年前から認知症の治療を受けていたが、普段からよく車を運転していた。近所の人は「まったく普通でした」「やさしそうな人で、ものの言い方も柔らかいし」と、男性が認知症とは気づかなかった。
事故を起こしたおととい28日(2015年10月)も、家族に行き先を告げずに出かけたが、100キロ以上も離れた宮崎にいた。事故で目撃した人は「まったく普通に前を見て運転していました」と言う。
「高速道路逆走」7割が65歳以上
高齢認知症の運転でとくに怖いのは高速道路の逆走だ。京葉道路で85歳のドライバーに衝突されたダンプカーの運転手は「思ってもいないから、うそだろうと思った。自分の車めがけてハンドルを切ってこられたので、避けられなかった」と振り返る。
11年から14年に起きた逆走事故739件のうち、65歳以上が69%を占める。国立長寿医療研究センターによると、認知症の男性高齢者の61%が運転を続けている。
地方では「生活の足」高齢になってもクルマ手放せない
北海道に住む男性は橋の欄干や対向車に衝突する事故を繰り返している。「ハンドルも何も、瞬間はよく覚えていない」と語る。標識の認識も曖昧だ。妻が入院していて週2回は着替え届けなければならないが、バスは週1便しかない。
群馬県の高齢者夫妻は自宅からバス停までは歩いて30分かかるため、夫(86)の車が頼りだ。「公共交通機関がない。車がなければどこへも行けない」という。妻80)は「乗りたくないが、車を使わなければ生活できない」と話す。
司会の羽鳥慎一「乗らないと生活できない地域がありますよね。非常にむずかしい問題です。よく考えていかなければなりません」