宮城・七ヶ浜町で、認知症の母を介護していた娘の姿が消え、自宅の庭と床下から母と同居していた兄の遺体が見つかった事件で、宮城県警はおととい26日(2015年10月)、秋田・大館市内で娘の身柄を確保し、死体遺棄容疑で逮捕した。
看護師辞めて認知症の母親の面倒
遺体で見つかった佐藤かのさん(87)、長男の長一さん(57)と逮捕された次女の佐藤幸江容疑者(55)は同じ家に長年住んでいて、看護師だった幸江は母の介護のために勤めを辞めていた。別に住んでいる姉は、4月に長男が家を出ていったと聞いていた。その後は2人だったわけだが、今月20日に姉が訪ねると姿が見えず、「母と旅に出ます」という書き置きがあった。警察はかのさんは夏頃以降に埋められたとみている。また、長一さんの頭には殴られたと思われる傷があり、殺人容疑も視野に調べを進めるとしている。
姉は「4月からひどい状態だったと思います」という。幸江は「寝られない」としきりに訴えていたという。介護疲れと金銭問題で悩んでいたらしい。警察も事件の背景に介護の問題があったと見ている。
遺体が発見される前日19日の夜、幸江は自宅から約1.5キロ離れたコンビニのATMで現金を引き出していた。その後、タクシーで塩釜市内のコンビニまで行き、そこで足どりが途絶えた。逮捕されたのはJR大館駅のバスターミナルで、「今は頭がいっぱいで何もわかりません」と話しているという。
安倍政権「介護離職ゼロ」本当にやってくれるのか
堀山明子(毎日新聞夕刊編集部記者)「看護師を介護のため離職したといことで、事件には社会的背景があったのではないかと思います。安倍政権は『介護離職ゼロ』を掲げていますが、まずはこういう追い込まれる状況自体をしっかり把握してほしいです」
そこをもっと突っ込まんか。安倍政権のいう「介護離職ゼロ」がどれだけ現実味があるのか。やがて日本の人口の3分の1は老人になる。若い世代は貧しくて結婚もできない。出生率は上がらない。きのう27日に発表された推計では、生涯結婚できない人が男性で3割、女性で2割とあった。こんな先進国、ほかにあるか?
司会の夏目三久は「犯行の動機は明らかになっていませんが」といったが、ある意味、もう明らかになっている。姉に取材すればもっとわかる。