「小泉進次郎氏が自民党農林部会長に就任し、いよいよスタートします。本人は『まだまだ雑巾がけ』といっていますが、総理への道となるのでしょうか」
司会の羽鳥慎一が妙にハイテンションで伝える。
農林部会長とは自民党政務調査会に属する13ある部会の1つで、当面の課題はTPP(環太平洋パートナーシップ協定)対策だ。農業への影響が懸念されるなか、いきなり矢面に立たされる。
「まだまだ雑巾掛けしたい」
政治アナリストの伊藤惇夫氏は「いわゆる農林族がいろいろと文句をつけてくるわけですから、それをどうさばくかということですね」と話す。農林部会のベテラン議員は生産者側の声を盾に攻撃的になる。政府との間に板挟みになりながら利害調整をしなければならない。
小泉は何度も「雑巾がけをしたい」といっているが、「雑巾がけ」とは「日のあたらない場所で下働きする」という意味だ。政界では田中角栄元首相が竹下登元首相に「雑巾がけが足りない」と怒ったのが、この言葉の始まりといわれる。
歴代の首相をみると、安倍晋三首相は社会部会長(現・厚生労働部会長)、麻生太郎は文教部会長(現・文部科学部会長)、福田康夫は外交部会長、小泉純一郎は財政部会長、森喜朗は文教部会長とそれぞれ経験している。
「英才教育」の一環
自民党の部会長について、政治評論家の田﨑史朗氏は「ここで各役所が真剣に説明するようになり、それを吸収しながら党をまとめていく。非常に大事な仕事です。進次郎さんの場合も『英才教育』の一環で、次のステップになります」と説明する。
ただ、青木理(ジャーナリスト)は「TTP問題で生産者側をどう説得するかが問題で、説得するときに、人気者の進次郎さんにすればマスコミも進次郎さん側に立って報道してくれる。そういう思惑もあったでしょう」と指摘する。
羽鳥が進次郎のこれまでの道のりをすごろくで見せる。「初当選で青年局長、当選2回で復興政務官、当選3回で農林部会長と順調に進んできました。4、5回になると、衆議院委員長、もしくは大臣になり、その先は『運と実力』があれば総理が見えてきます」
ある講演会で進次郎は「総理になりたいですか」と質問され、「なりたいではなく、(総理に)なってもらいたいと思われる政治家になりたい」と答えている。