昭和から「正化」という年号に変わり、政府は増え続ける青少年の犯罪を抑制するという名目で、あらゆるメディアを取り締まる法律「メディア良化法」を施行した。もっとも厳しい検閲の対象となったのが本である。そこで、検閲に対抗する組織「図書隊」が創設され、本を守り人々の知る自由を守ろうとする。
検閲組織「メディア良化隊」は任務のためには武力を行使しても構わなかった。良化隊と図書隊は激しい銃撃戦を繰り広げる。
松坂桃李はヒールがよく似合う!冷酷無慈悲な文部官僚役にいい味
主人公・笠原郁(榮倉奈々)は高校生の頃、検閲で没収されそうになった本を図書隊員が取り返してくれたことがあった。隊員は笠原の頭をポンと撫でてくれた。彼女はそんな図書隊に憧れ関東図書基地に入隊した。そこで鬼教官・堂上篤(岡田准一・実は憧れの図書隊員)にしごかれる。全国の図書隊の精鋭を集めたのが図書特殊部隊(ライブラリー・タスクフォース)で、しごきの甲斐があって笠原は初の女性隊員として入隊することができた。笠原の堂上への憧れはいつしか恋へと変わっていった。
そのタスクフォース54人にミッションが下された。この世に1冊しか存在しない自由の象徴「図書館法規要覧」の一般展示が行われる「芸術の祭典」会場の警備である。
しかし、それはタスクフォースのスナイパー・手塚光の実兄で文部官僚の慧(松坂桃李)が仕掛けた罠だった。慧は笠原に「自由を命懸けで守るなんてバカバカしいと思いませんか。君たちに世界を変えることはできない」と宣言する。そして、「たかが兵隊じゃ何もできない。見てみたいな、堂上さんが倒れるところ」と挑発する。松坂桃李がいい味を出してる。「日本のいちばん長い日」の反乱軍将校、「MOZU」のテロリスト、そして本作と松坂桃李にはヒール(敵役)がよく似合う。
残念ながら失敗作のPart2・・・前作を派手な作りにしてなぞっただけ
図書隊の創設者・仁科特等図書監・基地指令(石坂浩二)は「確かにこの世は歪んでいるのかもしれない。しかし、大事なのは変わらない世界を嘆くのではなく、どう生きるかだ」と励ます。
「届けよう。待っている人たちがいる」
堂上は号令をかける。ミッションは開始された。慧の狙い通り、「良化隊」の急襲を受けてタスクフォースたちは一人また一人と倒れていく。図書隊は「専守防衛」。戦うために戦うのではなく、守るために戦うのだ。銃撃戦でも良化隊は直接人を撃つことができるが、図書隊は「威嚇射撃」しかできない。堂上は敵の銃弾に倒れる。駆け寄る笠原に「俺にかまわず行け」と堂上は叱咤する。果たしてタスクフォースはミッションを遂行することができるのだろうか。
映画のパート2はパート1を超えることはできないと言われるが、この映画も例外ではなく、パート1をひたすらなぞっているように思われる。よって、「アクションがスケールアップしてます」とか「恋愛模様がより濃く描かれています」くらいしか「売り」がないのだ。しかし、前作を見ていない人にはとてつもなく面白い映画に見えるかもしれない。
「LAST」と謳っているが、ラストシーンの展開を見るとパート3もありかなという予感がする。
佐竹大心
オススメ度☆☆☆