横浜市の大型マンションが傾いた問題で、杭工事を行った旭化成建材と親会社の旭化成はきのう22日(2015年10月)、データ偽装をした現場責任者が関わった物件が全国に41件あると明かしたが、個別の物件名は公表しなかった。旭化成建材の杭打ち工事は過去10年間で3040件もあり、「不安が広がっています」と司会の羽鳥慎一が言うとおり、これでは安心できるわけがない。
愛知県・岐阜県は憤然!「情報なくては調査できない」
41件は愛知県が23件、岐阜県6件、三重県5件、東京は2件などで、東海地域が目立つ。集合住宅や病院もあるという。愛知県が物件名を旭化成側に問い合わせたが、個人情報を理由に拒否された。岐阜県の担当者も「旭化成建材から情報提供がないと調査は不可能」と話す。
旭化成側は過去の検査データを分析して、不審があれば現地調査を行うことにしており、国土交通省への報告後の記者会見でも、「調査を進めている段階で、社員総がかりでやっている」(旭化成の執行役員)、「データ転用のあり・なしが調査のスタート」(旭化成建材の常務)と強調した。安全に問題があれば、個別に連絡するという。
建設ジャーナリストの岩山健一さんは「頭が高いという感じです。せめて建設したゼネコン名ぐらいは公表すべきです」「過去10年というが、20年前までは公開すべきです」と批判する。
杭打ち作業20年以上やってきた元現場責任者は、「残されたデータから不正を見抜く術はない」と話す。「モーニングショー」が偽装の手口を再現してもらったところ、電流記録機の調整機能を使っていとも簡単にデータの波形を描きあげた。元請け業者はこの波形を見るだけで、とくに計算することもないという。
別の杭打ち業者は「工期を守るために、違う現場のデータを転用してしまう」とも話すが、日本建設業協会では「初めて聞いた」と言うからあきれる。それだけ当たり前にやられているということなのだろう。
現場責任者の個人的問題か?会社ぐるみ・業界ぐるみ濃厚
司会の羽鳥慎一「偽装は衝撃的ですね。全部ではないとしても、ちょっと驚きました」
宇賀なつみキャスター「工事業者の仕組みから考えていかないとダメということですね」
吉永みち子(エッセイスト)「現場責任者個人の問題なのかな。構造的、意識的なものが業界になかったかという気がします。(工事の安全性を)当事者の間で確認されても信用しきれません」
個人情報にこじつけて居住者に知らせない企業の姿勢が露骨になった。「うちは大丈夫かと皆さん思われますよ」(羽鳥)という状態なのに、実際は何も応じていない。