「お客さまは神さまです」は昔の話だ。神さま変じて、悪質、過激なクレーマーが増加しているという。犯罪にまでエスカレートしている実態を取り上げた。とりわけ、タクシー運転手を困らせているのがクレーマーを装った悪質な詐欺である。
タクシー運転手が被害!クレーム装った詐欺
荷物を抱えた男が「池袋まで何分くらい?」と乗り込んできた。運転手がドアを閉めたその瞬間、男は「ドアに挟まれた」と持っていた袋をいじり、「携帯がボキボキや」とつぶやく。運転手の「どうしますか」に、男は「少しでも自分のできることをやるんじゃないですかね」と現金を要求。運転手が「1万円ぐらいしか現金はないけど」と差し出すと、男は受け取ってタクシーを降りた。
別のタクシー運転手は同じ手口で男に「眼鏡がグチャグチャや、これ金だからマジ高い」とコンビニのATMで現金を下ろさせられ、8万円を騙し取られた。車載カメラの映像から同一人物とみられ、タクシー会社が警視庁に被害届を出し、警察は犯人を捜査中だ。
最近増えているのが高齢者のクレーマーだ。代金を返しても執拗に電話でクレームをつけ、店長を自宅に呼びつけて、店員教育にまで難くせをつけ謝罪させるケースもあるという。
20代女性「あのフードコートのエビであたった」とツイッター
メーカーや小売店、飲食店が最も警戒しているのはネット上の姿なきクレーマーである。街角で取材した20代の女性は「フードコートでエビにあたって、トイレにこもっちゃって出られなくなったことがありました。ツイッターにあそこのエビ絶対にあたったわって書いた」という。別の20代女性も「買った商品に虫が入っていたとSNSに投稿した」と話す。
本人はクレームをつけているという意識はないのだが、真偽不明の噂が広まってメーカーや店は被害をこうむってしまう。こうしたネット上の姿なきクレーマーを365日24時間体制で監視し、クレームを発見するといち早く該当企業に報告する商売も登場している。
コメンテーターの小暮太一(経済ジャーナリスト)「(対応が)難しいのは、実際のあったものをネットに書いて、正義の味方の顔をして拡散する行為です。弱者を守るとか許せないとネットに書く。自分もやりかねないと思う一方でウーンとなりますよね」