ドラえもんの声優の大山のぶ代(82)の介護を続けている夫のタレント砂川啓介(78)が介護日記「娘になった妻、のぶ代へ」」を出版した。今年8月(2015年)に撮ったというツーショット写真が表紙だ。大山はカツラなのか、髪は黒々していて若々しく見えるのだが、帯には「記憶はなくても、君の笑顔はドラえもん」とある。
2700日の壮絶な記録
大山は01年に直腸がんを手術し、08年には脳梗塞を発症した。その後、仕事に復帰したが、12年秋にアルツハイマー型認知症と診断された。日記は2700日に及ぶから、脳梗塞の頃と符合する。日記の内容は壮絶だ。
まず徘徊。「僕がいない間にふらっと家を出て行方がわからなくなってしまうこともあった」「問いただしても『わからない』と繰り返すばかり」。思い出せないというのだった。
自宅のテレビで「ドラえもん」のアニメを見た。「ほら、ドラえもんやってるよ。僕がこう声をかけても、かみさんの反応はほとんどない。彼女はもう、自分がドラえもんだったことさえ覚えていないのかもしれない」
紙おむつ。「ぐにゃりとした感触が足元を襲った。便は床にこびりついていて、上手に取れない・・・。ついに大人用紙おむつをはいてもらうことにした」
絆。「僕たち夫婦がふたりきりで歩いてきた半世紀。その軌跡を残しておきたくて、筆を執った」「たとえ彼女が僕のことを忘れてしまっても、夫婦で過ごした日々が永久に残るように」
老老介護の大変さ知ってほしい
司会の夏目三久「公表はとても勇気のあることだと思いますね」
牧嶋博子(TBS解説委員)「私も父を10年近く母と介護をしました。言えるのは、男性もある程度家事をできるようにしておかないと、生活が破綻してしまう。それから介護保険の仕組みとか助け合う仕組みはあるので、1人で抱え込まないことがとても重要だと思います」「砂川さんも老老介護になっているので、周りのみんなで支えてあげたいと思います」
老老介護や介護疲れがもたらす悲劇も各地で起こっているなか、この日記は書店からすでに4万5000部の注文がきているという。同じ悩みの人たちへの連帯や励ましになればいい。